消費税って何?

消費税を廃止しろとか減税しろとかいう話は定期的に出てきますが、最近は野党の統一要求として提出しようと、日本維新の会やれいわ新選組などが騒いでいるようです。「コロナ不況で大変だから減税しろ」というのはわかるのですが、消費税だけがこんなにきらわれるのは日本だけの奇妙な現象です。

Q1. 消費税って何ですか?

消費に税金をかける「間接税」は昔からありますが、日本の消費税はEU(ヨーロッパ連合)と同じ付加価値税です。これは1960年代にヨーロッパで始まったもので、それまでの物品税が商品の種類ごとに違う税率をかけるのに対して、すべての商品・サービスの付加価値に一律の税率をかけるのが特徴です。

Q2. どういうしくみで税金がかかるんですか?

たとえばみなさんがお店で1万円の洋服を買うと10%の消費税がかかりますが、お店は消費者から1000円の消費税をあずかるだけです。洋服を問屋(卸売業者)から7000円で仕入れたとすると、その利益3000円に10%をかけた300円を税務省に納税し、卸値に10%足して問屋には7700円払います。

図1(財務省)

問屋がメーカー(製造業者)から洋服を5000円で仕入れたとすると、それに10%足した5500円をメーカーに払い、利益2000円に10%かけた200円を納税します。メーカーは原価5000円の10%である500円を税務署におさめます。合計で500円+200円+300円=1000円の消費税をおさめるわけです。

Q3. なぜこんなややこしい税金をかけるんですか?

所得税や法人税は、売り上げから経費を引いた所得に課税するしくみですが、これだと黒字の会社が売り上げを小さく見せたり経費を大きく見せたりして、赤字にすることができます。図2のように日本の会社の6割以上は赤字法人で、法人税をおさめていません。こういう会社からも税金をとるしくみが消費税です。

図2(東京商工リサーチ)

Q4. なぜ消費税はごまかせないんですか?

消費税は流通のいろいろな段階でかかるからです。たとえば図1で、小売店が「卸値が9000円だったので利益は1000円で消費税は100円」と税務署に申告しても、問屋の帳簿には「卸値は7000円」と書かれているので、うそがばれてしまいます。だから消費税は税金をごまかしたい自営業者にいやがられるのです

Q5. お金持ちからも貧乏人からも同じ率の税金をとるのは不公平ではありませんか?

6割以上の会社は税金を払ってないので、給料から100%天引きされるサラリーマンとくらべて不公平ですね。所得の捕捉率はクロヨンといわれるようにサラリーマンと自営業者では大きく違い、事業所得の捕捉率は6割~7割です。

またグローバル企業は、海外に拠点を移して法人税をのがれることができます。所得の多い企業の税率が低いことを「逆進的」と呼ぶなら、2019年に2.3兆円の利益を上げたソフトバンクグループが、500万円しか税金をおさめなかったのは、逆進的もいいところですね。

Q6. 消費税は何に使われるんですか?

消費税法の第1条2項には「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と書かれており、すべて社会保障に使うことになっています。図3のように国の社会保障に投入されている公費50.4兆円のうち、21.7兆円が消費税ですから、社会保障以外に使うことはできません(例外は教育無償化)。

図3(厚生労働省)

Q7. 消費税をなくしたらどうなるんですか?

図3のように消費税がなくなると、社会保障に使われる公費に4割ぐらい穴があくので、社会保険料を上げるしかありません。社会保険料は今でも給与所得の約30%で、消費税よりはるかに重い負担です。これは超高齢化でふえるお年寄りの生活費を少なくなってゆく若い世代が負担する不公平な税で、60歳以上とゼロ歳児の生涯所得の差は1億円もあります。

Q8. 消費税は社会保障目的税なんですか?

消費税は一般会計の財源なので、特別会計のように収支の独立した目的税ではありません。大蔵省は本当は使い道を限定したくなかったのですが、増税するとき「社会保障の財源にする」というと政治的に通りやすいので、そうしただけです。一般財源に色はついてないので、目的税かどうかは大した問題ではありません。

Q9. 消費税は法人税を下げるためにできたんですか?

日本で消費税ができたのは1989年で、それまでに何度も大型間接税をつくろうとして挫折したあとでした。大蔵省は、不公平で税金を集めるコストのかかる所得税から、とりはぐれのない消費税に変えようとしたのです。また法人税率は世界的に40%台から20%台に下がり、日本も下げないと企業が法人税の安い国に逃げていくので、下げたのは当然です。

Q10. 消費税率を上げたら税収が減るというのは本当ですか?

うそです。図4のように1997年に消費税率を3%から5%に上げたときも、2014年に5%から8%に上げたときも、2019年に8%から10%に上げたときも、消費税収は増えました。所得税や法人税の税収が減ったのは景気が悪くなったからで、図4でもわかるように、ほとんど消費増税と関係ありません。

図4(財務省)

Q11. なぜ消費税はこんなにきらわれるんですか?

毎日お店で払うので、だれでも負担しているとわかる一方、それが社会保険料という「隠れた税」の赤字を埋めていることがわからないためでしょう。消費税が不公平だとか逆進的だとかいう話も、所得税や法人税が穴だらけで、社会保険料が老人福祉の負担を若者に押しつける不公平な税だと知らない人が、政治家に踊らされているだけだと思います。

【追記】維新も「消費税5%への時限的な減税」を提言しました。景気対策で財政支出を増やすのはいいが、景気が回復したとき縮小できる給付金のような一時金にすべきです。5%から8%に上げるのに17年かかった消費税を下げるのは愚策です。消費税は社会保障とリンクしているので、減税したら社会保障会計に穴があきます。