新型コロナワクチンの接種が拡大している。国や自治体は、様々な困難を抱えながらも、速やかな普及に尽力していることは間違いない。議会としても惜しみない協力を果たし、1人でも多くの区民の命を守るために、行政との橋渡しをしている議員が大半だろう。
世の中の関心は、ワクチン接種の進捗とともに、オリンピック・パラリンピックの開催の是非に集まっている。各種の世論調査で賛否は拮抗している。あるいは、反対の方が勝っているという結果もある。私個人は、コロナの感染拡大が生じないよう、能う限りの対策を講じるという前提で、開催することに賛成する。
世田谷区は米国のホストタウンであり、大蔵運動場が選手団のキャンプ地となる。そして、馬事公苑では馬術競技が行われる予定になっている。しかし、受け入れ自治体としてどのような準備をしているのか、区側からまったく説明がない。
保坂区長はと言えば、相変わらず、ワクチン接種に絡む政府の不備に文句を言ってはいるが、お得意のツイッターを見る限り、オリパラについての明確な言及はない。受け入れる側として、感染防止策はもとより、準備万端、整えなければならないはずだが、果たして大丈夫なのだろうか。ますます、成果の上がらない“世田谷モデル”なんかに、かまけている場合ではないはずである。それとも、IOCだかJOCでは、「世田谷区なんか無視してやっちまえ」ということにでもなっているのか。もしそうなら、それはそれで大変な問題である。
世田谷区議会は第2回定例会が、6月14日から始まる。区長与党の立憲民主党、共産党、生活者ネットは、都議選の公約を見ると、オリパラ開催に反対している。各会派の質問で取り上げられるはずだが、保坂区長がどう答弁するのか注目が集まる。努努ないとは思うが、万一、反対を表明した場合、その混乱は世田谷区に留まらず、関係各所へ一気に波及することになる。区長には、自分が目立つことを最優先にせず、大局的な見地に立って慎重に答弁するよう求めたい。