(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
全世界をなお苦しめる新型コロナウイルスの発生源に関して、中国・武漢にある中国科学院武漢ウイルス研究所からの流出だとする説が改めて注目を集めている。米国ではバイデン大統領が政府情報機関に本格的な再調査を指示した。
すでに米欧の一部の科学者たちは、新型コロナウイルスは中国でそれ以前に流行したコロナウイルスに手を加えた産物だと結論付ける報告書を発表している。また、武漢ウイルス研究所で今回の感染症状に酷似した感染者が出ていたという報告もある。それらの動きが契機となって、研究所流出説が再燃している。
中国当局は研究所流出説を全面否定しているが、今後確証が認められれば、米中関係から国際情勢全般にまで重大な影響を広げる展開ともなりかねない。
動物からの自然発生は考えられない
米国で新型コロナウイルスの発生源をめぐる議論が白熱してきたが、「コウモリのような動物に自然発生したウイルスが人間に感染した」という説が定着しつつあった。