新刊本「ネットの中心でファクトを叫ぶ」が出ました。385円というバグった価格を付けましたが読み放題のUnlimitedに最初からしてあるのでこの契約の方は無料です。
わたしが主催しています「21世紀を生き残るための「永江 虎の穴塾」では塾生を募集しています。コロナ禍の間、希望者は毎月30分。わたしと1:1でzoomでブレストができます。ひとりずつ丁寧にやってますよ。※事業・集客コンサルやサイト構築のご依頼も絶賛受け付けております。得意な分野はECサイト構築や商品開発です。実例はこちら
本日は昨日書いた
の後編です。必ず↑を読んでからにしてください。でないと意味が分かりません。
日本の今の産業構造を理解する
日本の現在の基幹産業はなにか、知らない人が多すぎです。
戦争前は軽工業や農業・漁業、戦後になって造船や自動車などの重工業の製造業でした。電子機器の生産も盛んでしたよね。
いまはどうなのか。
いまは販売・サービス業が過半数です。つまりサービス業の国です。
製造業はどうしてだめになったかというとざっくりいうと
まったく儲からなくなっちゃった
からなのです。
アメリカはファイザーやAppleやGoogleなど、儲かる企業がたくさんいて
日本とこんなに差があるわけです。
かといって飲食サービスが日本で伸びているかというとそうでもなく
製造や卸、建設ほどではないが減少している。それを吸収しているのが介護と福祉そして医療。今回も飲食店や旅行、観光が多数潰れると、それを受け入れる先は「介護」しかないわけです。
好きで介護職に就くのならいいのですが、職種の選択もできず、給料も安い介護職しか就けない世界がこのままだとやってきます。「とにかく自粛だ」と叫ぶお爺さん、お婆さん、お母さんは、自分の子供や孫が「シェフになりたい」「パティシエになりたい」という夢を潰してあなたたちのシモの世話をさせる一択になることに気づいた方が良いです。
つまり、飲食業が潰れると言うことは、
日本の文化や資産を消失することにくわえ、
次世代の夢を奪うこと、なのです
いったん壊れた飲食文化は元には戻らない
前回、日本の飲食業の経営者のほとんどが70歳を超えており、後継者も決まらぬままに閉店している今、彼らはもう再起不可能ということを書きました。
残るのは、石にかじりついて耐え忍んだところと、協力金で肥え太ったやる気の無い小規模店ですが、こちらはそのあとで協力金は売上ですから今まで申告していなかったところは税務署がやってきます。もともと後者は長く続ける気もないので協力金貰って閉めるところも多いと思います。会社もお店も、閉めるにはお金が必要なのですよ。
コロナ禍が終わったらバブルが来ると妄想を抱く人もいますが、おそらく来ません。アメリカとはマインドが違います。日本人の年金受給者はなんと4000万人であり、この人たちは基本的にお金をあまり使わない。そしてこの1年半でなにより社会習慣が変わりました。
前述のように東京の郊外の不動産がバブルになっているということは、この人たちはもう都内にはほとんど出社しないのです。宴会にも参加しないし接待ない。歓送迎会も飲み会も、無くなることはないがマーケットはかなり縮小して元には戻らない。
だってクルマは買ったし、アウトドア用品や自転車やキャンプ道具やサーフボードが馬鹿売れしたのに、都会で飲むと思いますか?
週末に備えて金曜日は早く寝るんです。わたしと同じです。つまり
日本人の生活習慣は大きく変わってしまった
のです。
どの飲食業も資金繰りにあえいでいる
大規模、中規模、小規模に限らず、従業員を雇って本気でやっていたところはどこもアップアップです。東京だと豊洲もガラガラ。地方の生産者にも大きなダメージです。地方の酒蔵も、農家も大きな打撃を受けています。最近、都内のスーパーで石垣牛や石垣パインを見かけるのですが以前は現地で消費されていたのが消費しきれずに回ってきていると思われます。
もちろんめいっぱい借り入れはしてしのいでいますが、無担保・無利子・3年間返済なしの融資ですが、2年後には返済が始まるのです。このときまでにきちんと黒字化しておかないと返済ができずにバブル崩壊の時のように倒産と自己破産、自殺に行方不明の怒濤の連鎖が始まってしまう・・・・・。
いまや緊急事態宣言前のボトム状態なのに馬鹿げた規制を続ける東京都。
自分は飲食店を精一杯応援します。
ちなみに飲食店を支援する目的で四人で「SAZANAMI」という会社を立ち上げました。二人は飲食業出身のエンジニアです。かなりの資金を投入して「大声を出すと警報が鳴るデバイス しずか御膳」を開発。サンプルの20個も上がってきました。利益はどうでもよいので日本の飲食店文化と夢を守りたいです。
↑しずか御膳
アプリも開発しています。クラウドファンディングも行う予定ですのでそのときはまたお願いします。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年6月10日の記事より転載させていただきました。