世の中で一番怖いのは「アニサキスアレルギー」

Chansom Pantip/iStock

数十年前に、会社の同僚がしめ鯖を食べてアニサキスに当たってしまい、夜中に激痛でのたうち回ったという話を聞いたことがありました。生魚で生きている寄生虫が胃や腸で暴れまわるのが原因で、体内から取り除くことで治癒することができます。

最近、SNSでアニサキスアレルギーの話を目にすることが多くなりました。

これは寄生虫によるアニサキス症とは別もので、アニサキスの成分に反応して起こるアレルギー反応です。アニサキスが生きていなくて死骸であっても、体内に入ることで激しい痒みなどが発生し、最悪の場合ショック死してしまうという恐ろしいものだそうです。

このアニサキスアレルギーというのは、原因不明である日突然発症するようです。

実際になった人が書いている文章を読むと、魚介が含まれる食品を体内に入れると激しいアレルギー反応が起こるため、焼き魚や刺身といった魚介だけではなく、かつお節の出汁が入った総菜、魚のエキスが入っているスープなどを食べることが大きなリスクになるようです。

食事によって常に発病の恐怖と戦わなければならないという緊張を常に求められるだけではなく、食事の制限が極めて広範囲に必要となり、外食に関してはほとんど絶望的になってしまうことになります。

しかも、一旦アレルギー反応が出てしまうと、アレルゲンを完全除去(つまり魚介類を一切摂取しない)して、IgE検査の数値を下げるという生活を続け、数値が0レベルまで下がったら、今度は逆に少しずつ体内にアレルゲンを取り込んでいく減感作療法をするしかないようです。それでも、数値が下がらなければ、そのままの食生活をずっと続けていかなければなりません。

日本人の食生活には魚介類が欠かせません。自分の毎日食べているものを考えても、魚介類のない食事というのは一日も無いと言って良いでしょう。

食事制限というのは、食べることに喜びを感じる人にとっては、人生のクオリティ・オブ・ライフを極端に下げることになります。

原因がわからないので、誰にでもある日突然アレルギー反応が起きるリスクがあるのです。私は幸いにもまだアレルギー反応が起こっていませんが、予防方法が無い(わからない)というところが、何とも恐ろしいところです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年6月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。