東京オリンピックの事前合宿のため来日したウガンダの選手団9人のうち1人が新型コロナウイルスに感染していたことが判明した(6月19日)。残る8人は濃厚接触者かどうかの判定を受けないまま入国して、事前合宿をするためにホストタウンの大阪・泉佐野市に貸し切りバスで入っていた。
ところがこの8人全員が濃厚接触者と特定されたことが泉佐野保健所が調査した結果、分かったのだ。また、同行していた泉佐野市職員1人(ウガンダ在住の現地調整員)も濃厚接触者であると特定されたという。選手団9人で来日したのだから、感染者以外の他の8人も濃厚接触者であることは、常識的に考えて、火を見るよりも明らかであろう。それを確認や隔離もせずに、そのまま移動させるとは、一体、どのような管理体制になっているのか。飛行機の乗客やバスの運転手、ホテルのスタッフ、ホテル宿泊客が濃厚接触者となり、コロナに感染することもあり得るだろう。これ自体、既に日本国民の生命を危険に晒していることにならないだろうか。
菅首相は「まず安全安心な大会を実現するために、感染対策をしっかり講じて、リスクを可能な限り小さくすべく、具体的対策を詰めているところ」と会見(6月17日)で述べたが、既に綻びが生じているのではないか。第一、今頃、具体的対策を詰めているところでは遅いのだ。これからドンドンと五輪関係者が来日してくるのに、このような事で、対応しきれるのだろうか。ウガンダ選手団への対応を見ただけでも、無理だと思うのだ。
そうした事を考えた時、菅首相の繰り返してきた「安全安心」の東京五輪というものが、如何に後手後手で頼りなく、砂上の楼閣であるかが分かろうというものだ。菅首相が主張する「安全・安心な五輪」が実現すると思わないと考える人が3分の2に上ることがANNの世論調査で分かっているが、日本国民がそう思うのも当然と言えば当然である。
東京五輪は、日本国民の生命だけではなく、世界の人々の生命まで危険に晒す可能性があることを日本政府関係者は本当に理解しているのだろうか?日本で感染爆発が起きるか、「外圧」でアメリカなどが五輪中止を求めてくるか、日本から世界へとコロナが拡散され世界中の人々から怨嗟の声で責められなければ、今、五輪を開催する真の怖さというものを思い知ることはないのだろうか。