「売り上げ星人」や「利回り星人」から早く脱却した方が良い

仕事や投資で大切な事は、如何にリスクや手間を小さくしながら、利益を最大化するかという「効率性」です。

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多くの社員を抱え、大きな売り上げがある会社があったとしても、人件費等のコストがかかり、利益がほとんど出ていないのであれば、リスクだけが大きく、経営効率が悪いということになります。

むしろ、売り上げが少なくても、社員数が少ない方がマネジメントの手間もかからず、運営コストが低くなり、リスクも低く効率性が高いといえます。

例えば、社員10人で売り上げ10億円、利益1千万円よりも、社員3人で売り上げ1億円、利益3千万円という会社を目指すべきなのです。

投資に関しても、同様です。

利回り20%の高利回り投資でも、500万円の投資元本であれば、利益は100万円です。

もし他人資本(銀行借入)で、金利1%で1億円調達することができれば、利回りがわずか4%でも、金利差3%で年間利益は300万円です。

しかも「手離れ」と言う観点からは、後者の方が恐らく優れているはずです。前者を3回やるよりも、後者を1回やる方が、同じ利益でも効率性は高いと言えます。

多くの人は、経営であれば売り上げ、投資であれば利回りといった数字で、経営や投資の判断をしてしまいます。しかし、経済合理性から考えれば、出来るだけ少ないリスクと手間で、手取りのお金を最大化するかという視点を忘れてはいけません。

ファイナンシャル・インディペンデンス(経済的自立)とは、自分がいなくてもお金が自立して動いてくれる状態。それを目指すのであれば、なるべく少ないリスクで、なるべく少ない手間から、なるべく多くの手取り利益を生み出す「仕組み」を作ることです。

だから、ひたすら企業規模を拡大する「売り上げ星人」や高利回り投資を探し求める「利回り星人」から早く脱却して、自分がいなくても問題なく回る状態を如何に作るかに注力すべきなのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。