今週のつぶやき:日本の株式市場はどうなっちゃったのでしょうか?ほか

感染防止策の拡大を発表した菅総理。相も変わらず冴えない顔つきのその気持ちは「何をやっても裏目、コロナ、恨めしや」といったところでしょう。最近は政権の動きも攻めより守りが多い一方、1カ月ぐらい前までうるさいほど聞こえてきた飲食店の営業時間短縮のニュースもパタッと止まった気がします。野球ならピッチャー交代もありなのだと思いますが、リリーフに見え隠れするのは小池選手、あぁ、あまり想像したくないです。

東京証券取引所

では今週のつぶやきをお送りします。

日本の株式市場はどうなっちゃったのでしょうか?

昨日、アメリカのトリプル高の話を振ったのとは好対照なのが日本の株式市場。金曜日の日経平均は更に500円ほどさげて27200円台。6月半ばが29400円台だったので2200円、率にして7.5%ほど下げています。悪い悪いといわれる上海総合ですら同時期の下げ幅はおおよそ7%に留まっていることを考えれば日本の株価の下げは突出しているように見えます。ただ、ジャスダックと東証第二部は堅調なので主要銘柄に資金を入れる海外勢と法人の動きが鈍いのが明白です。

東証発表のデータでは7月12日の週と19日の週の比較だけでも売買高は40%以上減少しており、明らかにエネルギー不足です。投資家が日本の株式市場に興味を持っていない理由が夏休み、オリンピック、コロナだけなのか、日本の産業界が根本的にデッドロックに乗り上げつつあるのか、判断時期に入ったかもしれません。長引くコロナによる経済的足かせもいよいよ重いものになりそうで感染対策が想定通りいかなければ株価への厳しさは増す可能性がないとは言えません。

日経平均のチャートからは底打ち感が見られず、当面、好材料には弱く、悪材料には強く反応しやすくなると思います。またオリンピックが終われば必ず政局の話題になりますが、菅総理続投、安定政権が予見できる状況になく、山積する外交問題も含め、政権がこの1年、コロナ対策以外はほぼ何も目立ったことができなかったことに国民感情が思わぬ方向に走る読めないリスクは覚悟した方がいいかもしれません。

オリンピック、ここまでで思うこと

金メダルの数は日本は最高数を更新しているようですが、本命で期待された選手たちが続々とそれを裏切り、伏兵が金メダルを取ってくるという展開が日本らしいという気がします。期待がかかる主要メンバーはメディアの取材や国民期待が重すぎてプレッシャーに負けたか、一部の選手は調子に乗り過ぎていたような気もします。手のひらの上でコロコロされ、「世界の中の自分」ではなく、「自分の中の自分」になっていませんでしたか?

その中で大坂なおみさんに対する声がいろいろあるようです。私が思うのは誰がそうしたのか知らないけれど彼女を聖火の最終ランナーにしたことはものすごい違和感があります。指名されれば大坂さんも断れないでしょう。しかし、そもそも「うつ」はすぐに改善するものではなく、そっとして「否定をしない」周りの対応が必要です。私なら最終ランナーにはコロナと戦う普通の看護師さん達といった特別のオリンピックというイメージを前面に出すほうがずっと効果的だったと思います。

その点で今回の演出は正直、感動を呼んでいません。デーブスペクターさんがこき下ろしたのはかけた金額だったと思いますが、私は全体構成が商業的で何か温かいものを感じなかったのが主因だと思います。もちろん、開催前のドタバタがあったこともありますが、日本は「世界の一流」にこだわり過ぎたと思います。もっと国や国民の普通のテイストを打ち出した方が面白かったと思います。海外での日本人評を分析してその強みを見せるといった分析はどこまでやったのでしょうか?画面に映る選手村もグリーンがなく無機質、環境に優しいイメージはなく、段ボールのベッドは壊れるかどうかよりリサイクルを含めたその取り組みをもっと見せるなどやり方はいくらでもあったと思います。

転職有利のアメリカ、最低賃金引き上げに難色を示す日本

アメリカ、ADP社が1800万人の労働者の統計をベースに継続勤労者の給与は3.1%の上昇に対して転職者の給与水準は5.8%上昇したと発表しました。北米ではコロナ後の経済正常化に対して「ミスマッチ」が生じており、今迄長年働いた業種から足を洗い、違う仕事にチャレンジするケースが見られます。経済再開に向け企業側は人材確保に苦戦するところも出ています。となれば欲しい人材なら多少、給与を払ってでも確保するのでしょう。私も最近、一人採用しましたが、応募者は集まれどマッチングせず、なかなかの苦戦でしたがうまくドンピシャが当てはまりました。給与も未経験者で時給1800円提示ですが。

一方、最新号の日経ビジネスに「最低賃金引き上げに潜む懸念」とあります。日本では最低賃金が全国一律で28円上がったことでコロナ禍の産業界がよりあえぐというわけです。北米での結論からするとこの記事のトーンは真逆です。賃金を上げれば企業側は従業員への期待度が上がり、またジョブマーケットで競合が発生するため、仕事の質が上昇し、企業の生産性も上がります。これは労働者と経営側のウィンウィンの’関係ですが必ず振り落とされる人が出ます。政府はその人たちの職能を引き上げるための職業訓練などを支援するといった枠組みで対応し、日本全体の労働力の質の向上を図るべきなのです。

日本は落伍者を出さないという発想が強いのですが、最近は落伍者が甘えていて「誰かが助けてくれる」という期待感を持っているケースがないとは言えません。落伍者が出た場合、その理由が組織にあるのか、個人にあるのか、業務内容にあるのかその分析を明確にせず、ブラックだと断定するメディアも多く、労働に対する正しい理解と生涯職業教育を通じてずっと向上心を維持できるような環境を取り戻すことが大事だと思います。

後記
手持ち事業の本格的工事や改修工事で忙殺されています。東京で3カ所、カナダも3カ所同時に動いていて大小いろいろありますが、一つずつ、こなしています。コロナ後の世界を見抜いたとき、今のうちに次のステージに引き上げておかないとキャッチアップできなくなると考えています。そういえばこの半年ぐらいの間にウェブサイトも3-4つ、刷新しています。コロナで停滞している時間が私にとっては宝物でした。9月からの経済正常化に向け、まっしぐらです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年7月31日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。