新型コロナ入院基準改定をめぐって論争が続いています。
入院対象は重症者らに限定、自宅療養が基本に
重症患者を優先して医療崩壊を回避することが目的だったはずですが、毎日新聞などメディアのミスリードによって、政府の対応が「中等症の人を病院から追い出す」みたいな印象を与えてしまい、おかしな事態になっています。
「中等症」という、ふつうの人は一昨日まで聞いたことのなかった言葉の「定義」をめぐって大きな混乱が生じているようです。
批判派の方と・・・。
合理的配慮派と・・・。
たしかに、政権の今までの言行不一致が招いたと面もあります。
産経は厚労省の方針が「修正」されたと報じましたが、これは誤報。
厚労省は8月3日に出した事務連絡の最後の表に「中等症で酸素吸入が必要な者」と付け加えただけで、本文はまったく修正していません(日付も3日付のまま)。最初から「中等症以下の患者の中で特に重症化リスクの高い者」と書いてあるのです。
要するに中等症かどうかは関係なく、重症化リスクの低い患者は自宅療養という方針は変わっていないのです。中等症という言葉を入れただけで、野党は納得するんでしょうか。
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課題としては、自宅待機となった患者の症状急変に備えて、そのケアをどうサポートしていくか。訪問医療をオンライン診療などのDX技術でサポートしたいところですが、日本の医療体制がそれを拒んできた面も否定できません。
この状況下では、グレーゾーン(軽症と中等症(軽度)の線引き)の判断を現場に任せると、不測の事態に備えて、リスクの少ない方を選択する(重症と判断する)インセンティブが働く可能性が高く、政府の意図する医療提供体制の改善にはなりそうもありません。
政府にはより一層の丁寧な説明と、在宅患者へのサポートに関して体制整備、マスコミには事実に基づいた冷静な報道が求められます。