今週のつぶやき:ジャクソンホールほか

オリンピックとパラリンピックの熱量の違いを改めて感じさせているのが今回の大会。メダルの数もその熱量に影響しているのでしょうか。パラで日本のメダル数と順位を把握している方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか?27日時点で日本は金2つを含む9つで順位は13位。中国が圧倒していてメダル総数48個、2位の英国は28個と大差です。そういう意味では小学生にパラを実際に観戦させて熱量を上げるのはよいことだと私は思います。もっと応援して盛り上げよう、ですね。

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では今週のつぶやきをお送りします。

ジャクソンホール

「夏の終わりのジャクソンホール」、こんな歌があってもおかしくないほどマネーマーケットのその年の後半を占う重要な発言が毎年繰り返されます。私も今週「ジャクソンホール待ちだね」をどれぐらい繰り返したか…。結論は想定通り、パウエル議長が今年、緩和縮小を開始する方向だと述べた一方、それが利上げ時期を想起するものではないとしました。またスピーチのトーンも”Stimulus too early could be particularly harmful”(緩和縮小を急ぐのは特に害となる)といった感じです。私の予想は「あいまい表現」だろうでしたが、ほぼその通りになっています。FOMCは今年、9月、11月、12月とあります。9月で緩和縮小は打ち出さず、11月が妥当だろうという市場の大勢に私も同意です。

株価は一斉に上昇しています。理由はあく抜け。本来であれば緩和縮小はマイナスイメージですが、すでに織り込み済みでこれで市場はすっきりとした気持ちになっています。月曜日の東京市場も結構上昇するでしょう。ただ、私は引き続き、秋の波乱を警戒しており、基本的には現金化を進めます。新たに投資したとしても非常に短期で小さい利益確定を積み重ねる手法になると思います。それぐらい世の中は読めないと思います。

金利政策も緩和縮小プロセスだけでも1年以上かかるでしょうから政策金利引き上げ実施は22年中は厳しいでしょう。ただ、それは過去の流れであって今日ではすべての常識が覆されることもしばしばあるのであまり経験則に頼らないほうがよさそうです。投資家の方はグローバルな観点で先読みするしかないと思います。東京市場ではクズ銘柄や新興市場が元気になっています。個人投資家好み銘柄の物色が鮮明で主要銘柄の動きが鈍いのがなぜか、ぜひとも分析してみてください。

アフガン、アメリカは復讐できるのか?

これほどコケにされたアメリカ大統領も久々に見た気がします。8月中のアフガン撤退方針に頑なになり、挙句の果てに自爆テロで米兵13名を含む100名以上の犠牲者を出したアフガン情勢。バイデン大統領は「必ず見つけ出し、報いを受けさせる」と強い言葉で非難しましたが、撤退するのにどうやって復讐するのでしょうか?特殊部隊ですか?犯人はIS系のISIS-K(イスラム国コラサン)のようです。ややっこしいのはISIS-Kとタリバンは「不倶戴天の敵」(NEWSWEEK)であり敵は誰か、というそもそも論からスタートしなくてはいけません。

ISIS-Kはイスラエルとアメリカを絶対敵国としています。タリバンは私の理解はイスラムの教えを非常に狭義に解釈しながら国家統制をすることを目的とし、必ずしも世界をテロで震え上がらせるというタイプには見えません。ただし、アフガンの統治においては女性の民主的権利はほとんど奪い取られる可能性は高いでしょう。

それゆえに次は難民問題を抱えるのです。まず、どこを経由して国外に脱出するか、です。主要隣国はイラン、パキスタン、それと旧ソ連邦諸国です。英国やドイツは一定数の難民受け入れに寛容であり、アメリカも20年間米軍に協力してくれた人を難民として受け入れるつもりはありますが、どうやってその人たちを救い出すかであります。可能性は旧ソ連諸国ルートですが、ロシアが嫌がる公算が高いでしょう。難民救出作戦まで考えるとアメリカは撤退しなければよかったという結果になるかもしれません。

さぁどうする、自民の議員は立ち上がれるのか?

今、多くの自民党若手議員が「自分たちが変える新しい自民党」を意識しているかもしれません。総裁選の日程が決まり、ぐずぐずイメージの岸田さんがいち早く出馬表明をしました。またほぼ明白な二階氏降ろしを公言し、党内で様々な意見がぶつかり合っているようです。もう一つの構造的障壁である「派閥」をぶっ壊せるか、というところにあると思います。

派閥内で意見調整ができない、これが現在の自民党です。最大派閥の細田派も麻生派も一枚岩になっておらず、派閥として方向が決まったのは石原派のみです。派閥とは個人個人の微妙な温度差をひっくるめてグループとして一つの方向性の決めごとをすることです。この手の動きは政治に限らず、組合活動でも地域の町内会でも同じでしょう。ただ、自民党というそもそもある程度の方向性が決まっている中で更に7つも派閥に分かれているのはサル山ニッポンの象徴です。党利党略ならぬ「派利派略」でちっちゃいですよね。ちっちゃい。

会社の役員とNPOの役員や議員の違いをご存知ですか?会社の役員には代表権を含めた一票の重みづけがあります。ですが、NPOにも議員にも一票は新人も超ベテランも同じなのです。ということは派閥の長が偉そうにするのはそもそもお門違いだということを学んでほしいのです。各地から選ばれた議員は一人一人が誇りと勇気、それに責任をもって票を入れるという行為を学んでほしいと思います。

後記

コロナになって変わったことの一つに会う人が選択的になったことがあります。今までは自分と折り合いが悪い人や普段接点がない人も集りで一緒になることはありました。が、今は自分に近い人と会うことが多くなり、リアル版フェイスブックのような気がします。これは視野が狭くなるので良いとは思わないのですが、心地よさがあるのが問題です。これに負けずにいろいろな人と接点を持つという意識を意図しておかないと狭い人間関係になりそうで怖いですね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年8月28日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。