自民党総裁選出馬を表明した、高市早苗氏。
他候補者の政策が抽象的であるのに対し、
その一つが「現預金課税」でしょう。
現預金課税は、現預金の所有額に一定の税率を掛け徴収する、
税は、フロー課税とストック課税に分類できます。
現預金課税は、ストック課税の一つです。
ストック課税は新しい論点ではありません。
2017年には、希望の党(当時代表:小池百合子氏)が、
さらに遡ると、経営コンサルタントの大前研一氏は、
今後の税制を考える上で、重要な論点と言えます。
しかし、今回の「現預金課税」は時期が悪いうえ、
今回は、現預金課税を軸に、
提唱するには時期が悪い
6年前、当時総理大臣だった麻生太郎氏は国会において、
「守銭奴みたいなもの。それだけ貯めてどうする」
と批判しました。
現在、企業は当時より、はるかに「守銭奴」化しています。
手元の現預金を増やす傾向にあるのです。なぜか?
高市氏が、現預金課税導入の理由の一つとしている、
「現預金が前年同期に比べて増えている」
という現象は、「当たり前」のことなのです。
コロナ禍の不測の事態に備えるため、
論点化するには「時期」が悪い、と言えます。
困難な余剰資金の算出
高市氏は以下のように述べています。
「『内部留保』は貸借対照表では『貸方』ですが、私は、
むしろ貸借対照表では『借方』の『現金・預金』に着目している」
【わが政権構想】日本経済強靭化計画|高市早苗 | Hanadaプラス
ここは、「貸方」にも着目して欲しいところです。
手元の現預金が、余剰資金とは限りません。
手元の現預金が余剰資金なのか。それとも必要資金なのか。
2017年の「金余り」と言われた頃、議論された課税対象が、“
内部留保は、過去の利益のストックです。
現預金という「一部の」勘定科目だと、
ピケティ氏の“資本課税”も、
こういった議論から、後退したように見えてしまうのが、
今後の議論に期待
現預金課税は、高市氏自身が述べている通り「二重課税」の他、
現時点での導入は、現実的ではありません。