「中学受験は課金ゲーム」
マンガ「二月の勝者」中のセリフです。
現在の、塾や受験予備校など教育産業界の状況を、
少子化による客数減少を、
一方、小規模の塾の倒産が増えています。もし、
上昇した一人当たりの教育費×獲得した子供の数=莫大な収益
を獲得できる。
「勝者総取り」
も夢ではない。イギリスのファンド CVCキャピタル・パートナーズ(以下CVC)は、
では、どこと組むか?どこが育つか?
選んだのは、「家庭教師のトライ」(株式会社トライグループ 以下トライ)でした。
買収価額は1100億円。純資産(約100億円)
「家庭教師」のトライに価値はあるか
「家庭教師」派遣業は(ざっくりと言えば)“
教えることのできる人材を採用(登録)し、生徒を斡旋する。
よって、
1. 提供サービスの品質にバラつきがあるこ
2. 自社にノウハウが蓄積しないこと
の2つです。
かつてトライで家庭教師をされていた多くの方々が、
「トライは、仕事を家庭教師に『丸投げ』している」
というものです。この「丸投げ」が上記2つの問題の要因です。
指導・育成がないまま「丸投げ」されると、
さらに、トライは「家庭教師」
3. 標準化できないこと
です。
家庭教師は、オーダーメイドです。子供によって、
品質にバラつきがある。ノウハウが蓄積されていない。
もし、トライが、“家庭教師「だけ」のトライ”だったら、
「オンライン授業」のトライに価値がある
しかし、トライには「家庭教師以外」の有望事業があります。
Try IT プレスリリースより
“Try IT”は、2015年に開始した、
オンライン化により、上記3つの問題が解消されます。
1. 同じ映像(講師)のため、品質にバラつきが無い
2. 再生回数や質問など情報が集約されるため、
3. 登録家庭教師の数(20万人)に比べ、
ということになります。
さらに、オンラインのメリットに加え、“Try IT”には独自の強みがあります。
「品質が高い」のです。
“Try IT”の授業映像をみると、
( あくまで主観ですが、筆者が、(劣等生だった)中学・
資格学校(社会人向け)講師の方に、“Try IT”の授業映像をみてもらいました。対象は、英語・社会・
理由は
1.講師力が高い
各講師の話し方が、中高生向け(子供向け)に統一されている。噛まない。聞きやすい。 2.教材の質が高い
操作方法やユーザインタフェース、画面レイアウトが工夫されている。そのため、 テキストを見ることなく映像だけで学習できる。 1科目15分程度にまとまっているため、集中しやすい。 高い講師力と教材品質により、面白い授業になっている。
その結果、15分があっという間に感じた。
とのことでした。これらを踏まえると、トライには
「商品開発力がある」
と考えるべきです。
類似するオンラインサービスを提供している、リクルートの“
違いは「量」です。“Try IT”の授業数は4000本。対して“スタディサプリ”
もし、現在の品質を維持しつつ、範囲を応用・受験対策まで広げ、
あくまで可能性の話です。
しかし、トライは「アルプスの少女ハイジ」のCMで、
トライの企業理念
“Try IT”は、今のところ無料で提供されているサービスです。
トライは、無料で提供する理由を、「社会貢献」、具体的には「
いつでもどこにいても学びの機会が得られ、
「勉強がわかるって楽しい」
「将来の夢や進学の目標を持つきっかけになった」
そのような想いを抱く子どもたちが日本中に溢れる社会を作りたい。地理的要因や経済的理由によって、 子どもたちの可能性に差異が生じてはならない。
Try ITの「永久無料」にはそのような願いが込められています。(中略) 株式会社トライグループ
代表取締役社長
二谷 友里恵
(「映像授業のTry IT」 ウェブサイトより)
これは、企業理念と言っても良いでしょう。
現経営陣は、今後の経営に「一定」の関わりを持つとのこと。
【参考・補足】
・学習塾・予備校市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
・株式会社トライグループ 第32期(令和2年5月31日現在)決算公告(令和3年4月28日)