池袋にある「うなぎの聖地」とも呼ばれるお店に行ってきました。どこにでもありそうな古びた外観のカウンターの6席だけのお店です。ストイックな店主がその場でさばいて焼いてくれる出来立てのうなぎ。あらゆる部位を味わえる串焼き(写真)と合わせ、今まで味わったことのないうなぎの奥深さを感じることができました。
うなぎは、養殖ものと天然ものに分けられますが、多くの人は、天然の方がおいしいと思い込んでいます。
しかし、店主はこれは好みの問題であり、好きな方を食べれば良いといいます。
うなぎに限らず、飲食はその人の嗜好によって価値が変わるものです。普遍的に甲乙を付けられるものではないという店主の考え方に全く同感しました。ちなみに私は、うなぎに関してはこれまでのところ「養殖派」です。もしかしたら、まだ本当に美味しい天然ものに出会っていないだけかもしれません。
「グルメな人」と言われる人も、意外なことに固定的な価値観に支配されている場合が多いのです。
例えば、食べログやミシュランの評価に盲従してしまったり、有名な高いワインだというだけでおいしいと思い込んでしまう。ある種の同調圧力なのかもしれません。
もちろん一般的な評価が高く、実際に素晴らしいものもたくさんあります。しかし、有名とか高いという割に、行ってみたらがっかりするお店や、飲んでみてあまり感動の無いワインもたくさんあります。
逆に、一般的な評価が低くても、自分には大満足という経験もたくさんありました。
むしろ、価格がリーズナブルなのにとてもおいしかったり、グルメサイトの評価が低いのに満足できる。私は、そんな掘り出し物のような出会いにこそ、飲食の醍醐味を感じるタイプです。
うなぎが天然ものだというだけで有り難がっているような人は、きっと有名店と言うだけで、おいしいと思い込んでしまう人です。
人の好みはそれぞれで構わないと思いますが、私は残念ながらそんな人たちとは、好みが合いそうにありません。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年10月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。