立憲民主党・日本共産党の敗北
10月31日の総選挙が終わった。結果は自民党261名、立憲民主党96名、日本共産党10名、日本維新の会41名などである。自民党の261名には驚きである。なぜなら、選挙終盤の世論調査では233議席の単独過半数ぎりぎりの情勢で苦戦とみられていたからである。明らかに善戦と言えよう。また、常に「改革」を訴える日本維新の会の41名にも驚きである。驚異的躍進と言えよう。
これに反して、立憲民主党は選挙前の議席110名から14名も減らした。選挙終盤の世論調査では「野党共闘」による一本化の効果で140名前後は可能とされていたから明らかに敗北であり惨敗とも言えよう。共産党も選挙前の議席12名から2名を減らした。選挙終盤の世論調査では12名を上回る可能性があるとされていたから、敗北と言えよう。
立憲・共産の敗北の原因は「閣外協力」の合意
立憲・共産両党の敗北の原因は、「閣外協力」の合意である。両党は総選挙前の9月30日に、政権交代が起こった場合は、共産党が立憲民主党に対して、市民連合を介して合意した安保法廃止・立憲主義回復など20項目の「共通政策」を実現するため、「閣外協力」の合意を結んだ。
しかし、周知のとおり、両党の間には、自衛隊や日米同盟など、日本の存立にかかわる基本的な安全保障政策において重大な相違がある。そのため、とりわけ、選挙期間中における北朝鮮による度重なる日本海へのミサイル発射や、中ロ両国艦船による日本近海での共同威嚇活動など、東アジアの厳しい安全保障環境の下で、国民は、「閣外協力」する立憲・共産の両党に対し、安全保障面において不安を感じ、これが選挙にも反映したと考えられるのである。
立憲・共産の「容共政権」への国民の恐怖心
のみならず、共産党は、立憲民主党との「閣外協力」を、過渡期の政権である「民主連合政府」さらに「社会主義・共産主義政権」実現のための統一戦線戦略(党綱領四、五参照)と認識しているから、共産党にとって、「閣外協力」は社会主義・共産主義政権への第一歩である(10月5日付アゴラ掲載拙稿「ついに共産党と閣外協力する立憲民主党:社会主義政権への第一歩」。10月22日付拙稿「立憲・共産の容共政権の是非も総選挙の重要争点だ」参照)。
このような、「閣外協力」による立憲・共産両党の実態上の「容共政権」の可能性に国民が不安と恐怖感を持ったのではないか。さらに、共産党一党独裁政権の中国による香港・ウイグルへの重大な人権侵害などに対する国民の不安と恐怖心も無視できないであろう。そのうえ、日本国民の間には今も「共産党アレルギー」は根強い
立憲民主党は「閣外協力」を直ちに解消せよ
今回の総選挙で、国民は立憲と共産の「閣外協力」を拒否した。これは立憲・共産の敗北の選挙結果で明らかである。その意味で「閣外協力」は大失敗であったと言えよう。したがって、「閣外協力」を解消しない限り、今後も立憲は政権を獲得できないであろう。
最大の支持母体である連合も「閣外協力」に強く反対しているのであり、連合の態度は国民一般の感情に近いとも言えるからである。立憲民主党は政権を獲得したければ、直ちに共産党との「閣外協力」の合意を解消し、共産党を除く他の野党との連携を強めるべきであろう。