ベネズエラから政治資金がスペインのポピュリズム政党ポデーモスに提供されていた。
スペイン政権の一翼を担っている政党ポデーモスはベネズエラのチャベス前大統領そしてマドゥロ大統領から資金を提供されていた。この事実があるからスペイン政府は今も独裁国家ベネズエラに対して厳しい姿勢が取れないでいる。だから、スペイン政府はトランプ前大統領そしてバイデン現大統領の米国政府から疎遠にされているのだ。
チャベス前大統領がポデーモスに政治資金を提供した理由
スペインで2014年で彗星のごとく政界に登場した極左ポピュリズム政党ポデーモスの党結成にベネズエラの当時の大統領だったウーゴ・チャベス氏が資金を提供していたということは以前より噂されていた。チャベス氏がポデーモスに資金を提供していた理由は、彼のボリバル社会主義革命を担う政党をスペインの政界に登場させることを望んでいたからであった。マドゥロ大統領もそれを引き継いだ。
この噂を実証する証言が米国に送還されるのが間近に迫っている元将軍ウーゴ・カルバハル氏よりスペインの法廷アウディエンシア・ナシオナル（テロ・麻薬犯罪などを専門に裁く裁判所）にて行われた。カルバハル氏はベネズエラで国軍諜報局（DGCIM）の長官を務めていた人物だった。カルバハル氏はチャベス前大統領から全幅の信頼を寄せられていた人物で、諜報局のトップにあったということから国家機密に彼は関わっていた。
キューバからもポデーモスに資金を提供
更に、カルバハル氏が新たに明らかにしたのは、ポデーモスがキューバからも政治資金を受け取っていたということと、チャベス氏はラテンアメリカの左派政権に同じく資金を提供していたことを明らかにしたのである。
先ず、キューバがポデーモスに資金を提供するために使った手段を彼は明らかにした。それによると、キューバのカストロ政権からトランクに詰めた現金60万ドルが在ベネズエラのキューバ大使館に送られていた。それがマドゥロ大統領の書記官ウイリアムズ・アムパロ氏に渡された。それをアムパロ氏はメリア・カラカスホテルまで持参してファン・カルロス・モネデロ氏に渡した、という証言をしたのである。このファン・カルロス・モネデロ氏という人物はポデーモス創設のメンバーのひとりだ。（10月18日付「OKディアリオ」紙から引用）。
カルバハル氏の証言によると、マドゥロ大統領は2017年7月までポデーモスに資金を提供していたそうだ。この時点だと、ポデーモスは急成長していて議会に議員を送り込んでいた。これが事実として実証されると、ポデーモスは外国から政治資金を受け取ったとして犯罪を犯したことになる。というのは2015年の法改正で如何なる政党も外国から政治資金を受け取ることは禁止されているからである。
チャベス政権はラテンアメリカの左派リーダーにも資金を提供
更にカルバハル氏はベネズエラ政府がラテンアメリカの左派政権の誕生そして成長の為に資金を提供していたことを明らかにした。例えば、アルゼンチンのネストル・キルチネール氏とクリスチーナ・フェルナンデス氏、ボリビアのエボ・モラレス氏、ブラジルのルラ・ダ・シルバ氏、ペルーのオリャンタ・ウマラ氏、ホンジュラスのセラヤ氏、コロンビアのグスタボ・ペトロ氏に資金を提供した。それに加えてイタリアの五つ星運動にも資金が提供された。
これらはチャベス前大統領が反米主義を唱え、特にラテンアメリカで左派政党が政権を握ることに支援する為であった。勿論、当時のベネズエラは原油の輸出で膨大な外貨を稼いでいたからそれができた。（10月19日付「OKディアリオ」から引用）。
アルゼンチンのクリスチーナ・フェルナンデス氏の選挙資金としてトランクに詰めた80万ドルがアルゼンチンの空港で没収されるというアクシデントがあったが、それ以後20回のフライトにそれぞれ100万ドルを詰めて送られていたことも明らかにした。アルゼンチンの空港でそれが問題なく通過できていたというのも空港の担当官に賄賂が渡されていたからだったそうだ。
イタリアの五つ星運動には創設者のひとりジャンロベルト・カサレッジョ氏を介して350万ユーロ（4億2000万円）が提供されたことをカルバハル氏が証言した。マドゥロ大統領の指示で当時内相だったタレク・エル・アイサミ氏がその発送を担当したそうだ。（10月20日付「OKディアリオ」から引用）。
イランからもポデーモスに資金が提供されていた
そしてカルバハル氏はイランもポデーモスに200万ユーロ（2億4000万円）近くを提供していたことも明らかにしたのである。この資金の提供に使った手段はポデーモスの党首パブロ・イグレシアス氏がHispanTVの番組に司会を務めていたことがあったが、そのスポンサーである360グローバルメディアを通してその資金がポデーモスに渡されたということだ。（10月18日付の同上紙から引用）。
米国への身柄の送還を避けるべくカルバハル氏はスペインに法廷に協力している。