「港区リア充」と「地方リア充」に広がる断絶

SNSには、いわゆるリア充(リアルな生活の充実自慢)と呼ばれる人たちの、自己承認欲求を満たすための投稿が溢れています。

私の友人や知り合いの投稿を眺めていると、それが大きく「港区リア充」と「地方リア充」に分類できるように見えてきました。

Nikada/iStock

港区リア充とは、東京の港区に住んでいるような人のアーバンなライフスタイルです。

30代、40代の独身者で働き盛りが多く、企業経営者や投資で財を成した経済的な成功者が典型的です。

彼らのSNSには、予約困難なレストランの料理写真や、友人とのワイン会の高級ワイン、そして高級車や自宅のタワマンの写真などに溢れています。

一方の地方リア充は、東京以外の地方に住んでいたり、関東郊外の鎌倉や、郊外の住宅地に一戸建てに住んでいるような人たちです。

ファミリー層が多く、こちらのコンテンツは、子供の成長自慢、海や温泉といった自然の素晴らしさです。キャンプやバーベキュー、そして地元の特産品も登場したりします。

東京都心の不動産価格が高騰し、家族で広い家に住むことが難しくなると、都心部に単身者が住み、郊外に家族がいるファミリー層が住むという住み分けが進むようになります。

ライフスタイルが異なり、住む場所も別の2つのグループの価値観に、違いが生まれています。

日本では、既に格差社会が広がっているという話を聞きます。経済的に豊かな人たちと恵まれない人たちの格差が、アメリカと同じように静かに広がっているという見方です。

そんな貧富の差から生まれる断絶だけではなく、年金制度を巡る世代による断絶もあります。さらに「リア充」の人たちの間にも、価値観やライフスタイルによる断絶がこれから生まれていく。日本が、様々なクラスターによる分断社会になっていくという悪い予感がしています。

杞憂なら良いのですが・・・。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。