ラーメン産業に投資する方法

空運業においては、規制改革が激しい低価格競争をもたらしたことで、産業全体としては、拡大発展したのだが、各社の破綻確率は、その競争による体力消耗によって、著しく高くなった。そこで、金融の論理からいえば、破綻確率の高い会社に投資することも、融資することも極めて困難であるから、カネではなくてモノを貸すという航空機のオペレーティングリースが利用されるようになったのである。

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オペレーティングリースにすれば、経営破綻しても、運航が継続している限りリース料は優先的に支払われるし、最悪の事態として運航が廃止されても航空機を回収して別の会社にリースすればいいだけのことである。こうして、現在では、世界の航空機の多くは大きな金融機関が所有するに至っている。要は、リースを通じて、個社ではなく、産業全体に投資する仕組みに変更されたのである。

同じように、ラーメン産業では、競争が激しすぎて、破綻確率が高いために、金融の取り組みが困難であるが、厨房器具と店舗をリースにすることで、ラーメン産業全体に投資する仕組みに変更できるはずである。

短期間で廃業するラーメン店が多いのは、店舗の賃料が固定費として重くのしかかるからである。そこで、賃料を事業成績に連動させて変動費化できれば、長く経営努力を継続できて、その間に成功への糸口をつかむ店もあるであろう。しかし、営業成績が不振な店では、賃料が低廉にとどまり、貸主に不利となり、逆に、成功した店にとっては、賃料が高くなり、不利な契約になって、転居してしまうはずだから、不動産事業として少しも面白いものにならない。

そこで、様々な創意工夫を凝らす必要がある。例えば、多数のラーメン店だけを入居させてラーメンビルを作る、または大きなビルの一フロアを全てラーメン店にして、集合させることで集客の魅力を生むと同時に、売り上げの平均化を図り、更に、一定の営業成績の基準で定期的にラーメン店を入れ替えていく仕組みを導入するなどである。

ラーメン店を株式会社にして投資するという発想は、もはや古いのである。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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