今週のつぶやき:前澤友作氏は何かをもたらしてくれるのだろうか?ほか

オミクロン株を一言で表現するなら「広く薄く」。感染力は強いけれどやっぱり重症化率は低い、そして根源の南アフリカからはピークアウトしたようだ、という声が聞こえてきました。急速に感染者が減っているようです。一方先進国では過去最多を更新中ですが、年明けに感染者数に改善が見られれば本当に春がやってくるかも、と期待したいですよね。

では今週のつぶやきをお送りします。

何か違う東京市場の新規上場ラッシュ

東京市場では12月に32社も新規上場となり、1991年来の記録です。24日には一日になんと7社も上場しています。来年も年間で100社以上が上場の見込みで新興国の起業ラッシュの様相であります。しかし、私は何度か申し上げたようにアメリカの上場企業がどんどん減っていく流れと逆行する東京市場に疑問符が付くのです。

新興企業のビジネスの特徴はある一点に強みがあり、急速に業績を伸ばすケースが多いのですが、そのトレンドは概ねワンピークで終わり、あとが続かないのです。すると株価はそれこそ10倍以上のテンバガーになることもありますが、その後、あっという間に10分の1に戻したりします。その一方で日本の個人投資家はアメリカ株ブームのこの時代、東証も少し工夫をしてみないのかな、と思います。

それは日本版預託証券(JDR)です。アメリカにはADRと称する米国預託証券がありこれにより海外企業がアメリカで正式に上場しなくてもこの預託証券の売買を通じてあたかも海外株の取引をすることができます。ちなみに北米では日本株が約300社トレードできます。一方の東京証券取引所は日本版預託証券の仕組みが2007年にできたのですが、14年経った現在JDRの銘柄はわずか3つ。アジアの金融センターを作ろうと意気込むにはあまりにも情けないと思うのです。東証は投資家を増やしたいのでしょう。証券取引所は企業の資金調達の役目と同時に投資家への魅力という二面性を考えるべきです。それ故、国際金融都市、東京はかつてのNY、ロンドンに次ぐ市場が今や世界9位の落ちぶれ方なのです。

前澤友作氏は何かをもたらしてくれるのだろうか?

宇宙ステーションに滞在し20日に地球に戻った前澤氏。思った以上に話題にならなかったというのが正直なところです。なぜだろう、と考えると結局「旅行」であってそれは自己満足の世界なのです。ニュース性の観点も宇宙に行った事実以上の何物でもないのです。前澤氏が大したものだと思うのは次々と寄付というかお金を皆さんにばらまき、その総額は既に30億円。自分だけではなく、皆さんとシェアしたいという考えを持っていることでしょう。今回も「宇宙から全員お金贈り」企画をやっていました。

でも撒けばよいというものでもないと思うのです。彼に必要なのはZOZOの創業者としての逞しい起業家精神を次につなげるべきだったのではないでしょうか?シリアルアントレプレナー(連続起業家)として若手のリーダーであるべきで小銭をばら撒いて奇妙な気を引いてほしくなったのです。日本で若くして築いたのち、次が期待されるのに出てこない人は前澤氏以外にも結構います。私がなぜだろうと思うのは堀江貴文氏、ひろゆき氏、橋下徹氏などで今のポジションはおかしいだろうと思うのです。批評をするよりもっとリーダーシップをもって評価されるべきことをしてほしいのです。

もちろん、日本の社会の独自性ゆえにもうあの世界には戻りたくないと思うケースもあるのでしょう。特に政治の世界にはありそうです。だからと言って「元議員」「元会社経営者」の立場でテレビなどマスコミを介して好き勝手放談をして「俺はインフルエンサー」という称号にさもありなんという感じを見ると違うだろうー、と思いませんか?

年明けは気をつけよ

2021年も残り1週間。今年はカレンダーの並びもあり、オミクロンもあり、静かなホリディシーズンとなりました。が、欧米は1月4日からフル稼働になると同時に12月までのモードから激変することがあります。12月の「忘れたふり」、1月の「現実問題」です。この中で年明け早々のテーマは残念ながら厳しい話です。ロシアのウクライナ侵攻問題が確実に主テーマになります。1月に米ロ協議が予定されていますが、距離は相当あるとされています。

プーチン大統領は最後通牒ではないと述べていますが、1月の会談が決裂すれば何らかの軍事的侵攻はありえます。アメリカ、欧州とも軍隊派遣はしないと明言しているなか、ウクライナ軍との交戦が最悪シナリオとして考えられます。なぜ、1月なのかと言えばウクライナの湿地帯を戦車が突き進むのには凍土となる1月から2月ではないと作戦遂行が出来ないのです。一方、プーチン氏は2月4日の北京五輪開会式に出席するとしています。この辺りが読み合いになるかと思います。

一方中国問題も山積してます。オミクロンの拡大で西安はロックダウンとなりました。北京五輪はホッケーにおいてNHLが不出場を決め、花形選手を欠いたものになりそうです。不動産問題は恒大集団が細い綱一本の状態にありますが、社債の元本返済が3月に迫り、利払いとはゼロが2つ違うレベルになる中、中国政府が介入するか、ここにも注目が集まります。要は、良い話先行の2022年キックオフとはならない可能性はあるかもしれません。おとそ気分もぶっ飛ぶかもしれません。

後記

マクドナルドのポテトのMとLサイズの販売一時停止の理由は大雨でインフラ回復が遅れているこのバンクーバー港の処理能力が理由。港湾の貨物処理は全く機能しておらず、私どもの輸入品も船から降ろした後通関して倉庫に入るのに15日間と言われお手上げ状態です。週末からは大寒波がやってくるバンクーバー、クリスマスイブの雰囲気どころか水道管の破裂を心配しながら気が気でない年末年始となりそうです。

では今日はこのぐらいで。メリークリスマス!


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年12月25日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。