2022年、脱「COVID 15」を目指す米国人

2022年の幕が開き、はや3週間以上が経過しました。皆様、今年作った抱負を覚えていらっしゃいますでしょうか?

erdikocak/iStock

米国人はというと、新年の抱負にちょっとした変化が見られました。調査会社スタティスタが調査した今年のトップ5は、以下の通り。

1位 運動の機会を増やす 48%
2位 健康な食生活を心掛ける 44%
3位 体重を減らす 41%
4位 家族や友人との時間を増やす 34%
5位 節約する 24%

2021年はというと、1位は同じく「運動の機会を増やす」(50%)、2位は「体重を減らす」(48%)でしたが、3位には「節約する」(44%)が入っていました。今年をみると「節約」が抜け、健康に関する米国人の意識が一段と高まったことが読み取れます。2021年の米疾病対策センター(CDC)の研究で、新型コロナウイルス感染での重症化リスクは、BMI(体重を身長の2乗で割った体格指数)肥満の分岐点を上回るにつれ増大する、という結果が出たことも一因でしょう。

また、COVID-19をもじって「COVID 15」という言葉が浸透したのも、その理由の一つかもしれません。アメリカ心理学会が2021年3月に発表した調査によれば、コロナ禍で望まずして体重が増加した米国人は5人に2人(42%)で、増量中央値が15ポンド(6.8kg)だったため、この言葉が生まれました。ただ、平均値では29ポンド(13.2kg)ですから、著しく増えられた方も少なくないもよう。コロナ禍の経済活動停止や在宅勤務に伴う運動不足に加え、行動制限措置に伴うストレスがその理由に挙げられています。

男女、人種、世代、職業別など属性で体重増加の平均値を比べてみましょう。コロナ禍で最も体重が増えたのは、ミレニアル世代(調査時点で25~42歳)で41ポンド(18.6kg)に及びました。次いでエッセンシャル・ワーカーが38ポンド(17.2kg)男性が37ポンド(16.8kg)親が36ポンド(16.3kg)黒人が35ポンド(15.9kg)と続きます。こうしてみると、行動制限や業務、日常生活でストレスを抱えやすい層で体重増加が顕著だったわけですね。

チャート:属性別、コロナ果での体重増加・平均値

(作成:My Big Apple NY)

逆に最も体重増加が小幅だったのは、アジア系で12ポンド(5.4kg)、続いてベビーブーマー世代(57~75歳)で16ポンド(7.3kg)ジェネレーションX(43~56歳)で21ポンド(9.5kg)でした。女性も22ポンド(10kg)と、男性と比較して体重増加が抑えられていたことが分かっています。

ストレスが体重に与える影響の大きさを今最も体現しているのは、この方ではないでしょうか。トランプ前政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏は、2021年6月14日に体重計に乗り、人生で初めて300ポンド(136kg)が視野に入り、目を疑いました。ニューヨーク・ポスト紙でのインタビューによれば、コロナ禍だけでなく、国務長官やCIA長官、下院議員を歴任した過去10年間に体重が100ポンド(45.4kg)も増えてしまったのだとか。足の怪我で運動が思うようにできなかった上、ご本人は言及していませんが、仕事上のストレスが影響したことは想像に難くありません。

しかし、ポンペオ氏は体重が300ポンドに迫ったことで一念発起し、自宅の地下にジムを設置。専門家に頼らず、週5回のワークアウトと健康的な食事を徹底した結果、半年で何と90ポンド=40.8kgの減量に成功したのですよ。

画像:NYポスト紙のインタビュー記事でみる、ポンペオ氏のビフォアアフター


(出所:My Big Apple NY via New York Post

ギャラップが2022年1月に発表した世論調査によれば、米国人の41%は自らを「オーバーウエイト」とみなし、5年前の36%から上昇していました。ポンペオ氏の地道な努力によるダイエット成功は、こうした米国人を励ましてくれるに違いありません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2022年1月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。