世界中の指導者がプーチンの掌で踊らされて右往左往しているのは情けないかぎりだが、その力の背景には、本人の能力だけでなく、長期政権の強みがある。
「日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史」(プレジデント社)では、日本の歴代総理と並んで、そのカウンターパートが誰だったかを詳しく紹介している。
それを見ると、世界と日本の動きが有機的に結びついていることが生き生きと分かると思う。
プーチン大統領が最初に就任した1999年の指導者を見ると、日本は小渕恵三が首相だった。アメリカは、クリントン大統領だった。そして、イギリスはトニー・ブレア首相の長期政権、フランスはジャック・シラク大統領、ドイツはシュレーダー首相、イタリアはダレマ首相、韓国が金大中大統領、中国はまだ江沢民主席、カナダはクレティエン首相だった。
そのときから、プーチンは、2008~2012年はメドベージェフに大統領に交替したが実権を握り続け、一期だけでまた自分が大統領に復帰している。
そして、最初の就任からの23年間に、アメリカではブッシュ、オバマ、トランプ、バイデンと交代し、日本はさらに頻繁に、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、そして安倍晋三が復帰、そして菅義偉、岸田文雄とめまぐるしく12人が激しく代わっている。
日本の次にひどいのは、イタリアで現在のドラギまで11人。いちばん安定しているのは、ドイツと中国の三人である。
ちなみに、1990年に誰がリーダーだったかを見ると、海部俊樹、ブッシュ父、サッチャー、ミッテラン、コール、アンドレオッティ、盧泰愚、ゴルバチョフ、江沢民、マルルーニといった人たちだ。
それでは、内閣制度ができた1885年12月に伊藤博文とクリーブランド以外は誰が指導者だったかというと、イギリスはソールズベリー首相、フランスはアンリ・ブリッソン首相、ドイツはビスマルク首相、イタリアはアゴスティーノ・デプレーティス首相、李氏朝鮮の領議政は沈舜澤、清国は李鴻章が直隷総督、ロシアは宰相にあたるポストがなくアレクサンドル三世が主導権を取っていた。カナダはジョン・A・マクドナルドが首相だった。
さて、何人の名を知っておられるだろうか。