「コツコツ」に満足してはいけない

日本人には、コツコツと継続して真面目にやることを美徳とする気質があります。

一発ドカンと当てた人を「一発屋」と小馬鹿にし、苦節○○年というように芽が出るまであきらめず継続した人を褒め上げる。このような職人肌の人をリスペクトするのは、人それぞれの価値観であり、悪いこととは思いません。

SNSを見ていても、仕事も真面目にコツコツやっていれば、いつかは報われる。資産運用もコツコツ続けていれば、最後に結果が出る。そんなコメントを残している人がたくさんいます。私もコツコツ努力する姿に感動しやすいタイプなので、典型的タイプなのかもしれません。

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確かに、継続することによって、結果がついてくることがあるのは事実です。

しかし、それだけでは不十分な現実になったのなら、それを受け入れ、対応しなければなりません。

真面目に働いているだけでは、自分が必要なお金が手に入らない。であれば、足りないお金を手に入れる方法を具体的に考え、行動しなければいけません。

コツコツと金融商品の積み立てをしているだけですは、老後の不安は解消できない。であれば、別の投資の方法も研究・実践しなければいけません。

しかし、自分はコツコツやっているから大丈夫と、自分にとって不都合な現実から目を背けてしまうケースが目につくのです。

自分が今やっていることにこだわり、それ以外のものを柔軟に受け入れることを拒絶してしまう。このような考え方のワナに陥ってしまっている人は、意外に多いものです。

特に、優等生タイプの人にその傾向が強いように思います。過去の自分の間違いを認めたり、失敗をすることを恐れ、現状維持にこだわってしまうバイアスが強いのです。

世の中が大きく変化するときには、自分が変わらなくても世界が変動することにより、相対的な立ち位置が変わってきます。

だから、同じことをやっていても、思うような結果が得られなくなるのです。

大切なのは、コツコツ続けていることだけではなく、世の中における変化を客観的に俯瞰することだと思います。

世界の大きな転換点である今、そのことをリアルに感じることができる毎日が目の前に広がっています。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。