ウクライナ戦争で「命が大事だからウクライナは降伏しろ」といって大バッシングを浴びた橋下徹さんが、今度はゼレンスキー大統領に「逃げるな。玉砕しろ」と進言し、NATOの軍事介入を求めるタカ派に急転回しました。
これには専門家からツッコミが入りました。
海外に亡命政権をつくって戦争を続けるのよくあることで、恥ずかしいことではない。ドゴールも第2次大戦中はロンドンに亡命して戦争を指導しましたが、終戦後には英雄として本国に迎えられたのです。
ゼレンスキー大統領の演説をテレビ朝日が「NATOのせいで死ぬ」と訳すと、今度は「ウクライナを見殺しにするな。NATOは介入しろ」と批判。
これに対しては「NATOが軍事介入したら核戦争になる」というコメントが殺到。
西側諸国はウクライナを見殺しにしているわけではなく、情報網の支援や経済制裁など軍事介入以外のあらゆる支援をやっています。今のロシア包囲網は戦後最大のスケールですが、これが橋下さんには(ヒトラーのチェコ侵略を認めた)チェンバレンのような弱腰だと見えるようです。
プーチンの求める中立化というのは、ウクライナが武器を捨てて降伏しろという意味です。今までの停戦交渉でも、ロシアがウクライナの武装解除やクリミアの主権承認を求めるので、交渉にならない。
ウクライナはNATOの加盟国ではないので、NATOは軍事介入する義務を負いません。したがって停戦協定の当事者でもない。戦争になったら、軍事力なしに政治的妥協はできないのです。これは平和な日本で、労使交渉ぐらいしか政治的交渉の経験がない橋下さんの限界ですね。
歯がゆいのはわかりますが、戦争は政治の目的ではなく手段なので、NATOが核戦争に勝ったとしても、何百万人も犠牲を出すわけにはいかないのです。橋下さんもご存じのはずのクラウゼヴィッツの有名な言葉は、そういう意味です。
戦争は一つの政治的行為である。戦争は他の手段による政治の継続にすぎない。