大学生が絶対にやってはいけないこと

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

これは大学生に面と向かって言ったことは一度もないのだが、筆者がかねてより大学生の時間の過ごし方について感じていることがある。それは「大学生の4年間で最もやるべきではないことはヒマつぶしでするアルバイト”」である。誤解する人が多そうなので、もう一度言うが「ヒマつぶし”でするアルバイト」はするべきではない。つまり「生活費や学費を稼ぐためのアルバイト」はまったく否定しない。

その根拠を論理的に述べていく。

Ababsolutum/iStock

大学生はヒマつぶしにアルバイトをしてはいけない理由

おそらく、ほとんどの人にとって「自由・体力・気力」の要素がもっとも高まるタイミングが、「大学生」ではないだろうか。これが中学生や高校生だとそうはいかない。中学生、高校生にはとにかく時間がない。進学のための受験勉強が忙しく、ほとんどの人は3年間毎日みっちり授業が詰め込まれている。それだけでなく、部活や塾通いをしている学生の中には、社会人顔負けに忙しい人も少なくない。

だが、大学生は違う。特に私大文系の中には、必須単位さえ取ってしまえば「ヒマ」を作ることができる大学も存在する。そのヒマを活かして、合コンやタコ焼きパーティーを楽しむ学生は結構見てきた。恋人を作ったり、貧乏旅行にいったり、友達と遊ぶということに時間を作ることは、ヒマつぶしにアルバイトをするよりも遥かに有意義な時間の使い方だろう。これらは時間が潤沢にある大学生の時にしかできない。後の人生で豊かに彩る経験や思い出になるはずだ。

しかし、ヒマつぶしで働くことだけは推奨されないと思っている。その根拠としては「大学生」という身分を得るために、親はとてつもないコストを支払っている事実があげられる。国立、私立関わらず4年間で数百万円かかる投資行為である。遠方で一人暮らしをするなら、生活費の仕送りも必要になる。

そのトータルコストたるや、人生の支出トップ3に入るほどの巨費だ。それだけの巨費を投じておきながら、それ以下のわずかな賃金を得るために大学生の時間を使うことは論理的な矛盾を感じるのである。

大学生はもっと勉強をするべき

大学時代にするべきでないことは、ヒマつぶしのアルバイトと述べた。

その逆にするべきことは、やはり勉強だ。これは昭和オヤジの説教のように聞こえてしまうかもしれないが、筆者からの主張というより状況証拠がそれを物語っていると感じるのだ。

周囲の社会人を見渡してほしい。日本人の社会人は勉強をしない。電車の移動中、ムダな時間を過ごすまいと必死に勉強をしている人はほとんどいない。日本の社会人の一日の勉強時間は平均6分間だというデータもある。無勉強な社会人たちは夢と希望を持って、輝く目をしているだろうか? その問いに対する答えはNOだろう。一方、自分を高めるためにビジネススクールに通ったり、起業活動に勤しむ社会人の目は死んでいない。夢を追い続けるためにも、社会人になった後にこそ勉強はするべきだ。

また、日本の外に目を向けると、海外では猛烈に勉強をしている。たとえば中国では受験生の数や競争が日本とは比較にならず「勉強し過ぎで死ぬことはない。だから死ぬ気でやれ」というスローガンがあるほどだ。米国では大学生が真夜中まで勉強をする。どの授業でも膨大なリーディングの課題が与えられ、レポートやプレゼンの練習で図書館は夜遅くまで大混雑する。また、社会人になった後もビジネススクールに通う人もいる。

こうした周囲の状況証拠に目を向けると、大学生の時期にもっともコミットするべきはやはり勉強と言えるだろう。

大学時代に勉強をしなければ後悔する

大学時代に勉強をしなければ多くの場合、後悔することになる。論理的な根拠を取り上げていく。

デスクで仕事をする頭脳労働は、技術力や専門知識に対して対価が支払われるという本質がある。スキル、技術、手に職などいろいろな言い方をされるが、結論的に勉強をして専門知識とスキルが高めることで相応の待遇を与えられるのが現代社会である。そうでない場合、労働力は安く買い叩かれてしまう。AIやロボットが単純労働を代替すれば、この傾向は増々進む。

現代のインフレ時代に、自分自身を労働力を安く買い叩かれてしまえば相対的に生活は苦しくなってしまう。余剰資金がなければ、スキルアップにまわす自己投資も用意できないという悪循環に陥りかねない。そうならないためにも、インフレに連動して自分の労働力もインフレするようなスキルを勉強で付けるべきなのだ。

筆者は大学時代、勉強をした以外の記憶はほとんどない。恋人もできなかったし、友達と夜通し遊び惚ける経験も乏しい。思い出といえば、夜遅くまで図書館に残って勉強し、暗い夜道を一人で歩きながら遠くに見える街の灯りがきれいだなと、駅まで眺めながら歩いたくらいだろう。しかし、まったく後悔はしていない。「勉強すればよかった」と後悔することはあっても、「勉強しすぎてしまった」と後悔する人は見たことがない。

大学は勉強に向いた環境である。大学生は義務教育時代の5教科に縛られず、好奇心に惹かれるままに好きな科目を履修できる。図書館には学習図書の他にビジネス書、雑誌、新聞、専門書までずらりと並び無料で読むことができる。学ぶことが好きな人にとっては大学はまるで知のテーマパークのようであり、この世の楽園があるというなら間違いなく大学だろう。

そんな大学生の時期に、ヒマだからという理由でアルバイトで過ごしてしまうのはあまりにももったいない。与えられたチャンスと時間は勉強に使うべきだと思ってしまう。

卒業後で振り返って「もっと勉強をしておけばよかった」という後悔する大人にならないよう、時間の限り、精一杯勉強をしておくのが良いだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。