都心から人口流出しているのにナゼ地価は上がり続けるのか?

F3al2/iStock

昨年末時点の公示地価が発表されました。それによると、全体的に不動産価格の底打ち傾向が見られ、首都圏では都心部に比べ千葉・埼玉・神奈川などの周辺部の利便性の高いエリアの価格上昇が目立っているそうです。

日本経済新聞電子版より

また、軽井沢のような東京からの利便性の良いリゾート地も価格上昇が強まっていると報じられていました。

これはリモートワークの普及に伴い、不動産価格の高い都心から郊外に移動する動きが続いているからと分析されています。

しかし、東京都心の不動産価格も堅調に上昇しており、引き続き都心部の不動産購入ニーズも強いようです。都心部の高額物件を購入しているのは、いわゆる「パワーカップル」と呼ばれる共働き世帯とされています。

最近、私が保有している都心の単身者向けワンルームマンションに外国人の入居申し込みが目立つようになりました。中国、韓国、ミャンマーといった国の留学生が中心です。

コロナ渦で途絶えていた日本への留学生が再び増え始めた兆しではないかと思います。

東京から人口流出が始まったとメディアは騒いでいますが、外国人労働者や外国人留学生の数が増えれば、再び東京都心部に人口が流入すると予想します。また、飲食業や観光業が以前のような状態に近づいていけば、雇用が増え、都心に住む日本人も再び増えていきます。

このような郊外に向かう人と都心に住む人という人の流れの違いによって、都心部と郊外で2極化することが考えられます。

子供がいるファミリー層を中心とした住宅環境を重視する人たちは、価格が手頃な郊外に住む。一方で、単身者や富裕層世帯は利便性を重視し、住宅価格が上昇しても都心部に住む。

都心の住居には引き続き高いニーズがあり、郊外に住む人が増えても、それによる都心の不動産価格へのマイナスの影響は限定的というのが私の見立てです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。