岸田政権は、市場原理に依存し過ぎる資本主義経済が、格差や貧困拡大の原因だと認識しているようです。「新しい資本主義」によって、この問題を解決しようとしています。
それに呼応するような調査結果が発表されました。読売新聞の世論調査によると、日本の経済格差について、88%が深刻だと回答する結果が出ました(元記事で図表を見る)。
その中で格差解消のための対策として、賃金の底上げ、大企業や富裕層への課税強化、教育の無償化などの要望が上位に上がっています。
この結果を見て感じるのは、日本社会が競争による成長より、最初から平等な配分を求めるようになっていることです。
規制緩和や技術革新を通じて健全な競争をによる成長を実現し、その果実を公平に配分できれば「みんなで豊かになる」社会が期待できます。
しかし、最初からある与えられたパイの平等な配分ばかり考えれば「みんなで貧乏になる」社会になってしまいます。
これは、テストの成績が優秀な人と出来の悪い人がいるからといって、優秀な人に出来の悪い人に合わせるのと同じです。まずやるべき事は、平均点を上げて、その中でばらつきを小さくしていくことではないでしょうか?
成長よりも配分を重視する考え方では、格差解消は実現されても、根本的な問題解決にはならないと思います。
日本国内だけで成長を放棄し、平等を進めていけば、世界からさらに取り残されることは確実です。
格差の解消はもちろん必要です。でも、その前にやる事は全体のパイを大きくすることです。
政府がやるべきことは、コロナ禍で明らかになった非効率な医療制度、お役所のデジタル化の遅れ、金融の規制緩和の遅れなど、競争を阻害する要因を排除し、日本経済の成長を後押しすることです。
結果の平等を最初から保証すれば、努力するものが報われなくなり、社会が衰退していく。これは今までの社会主義国の社会実験が実証しています。
自分が努力することより、人の足を引っ張ることにエネルギーを割く社会になって欲しくありません。
「新しい資本主義」という名の社会主義化によって、日本がさらに衰退していかないか。この世論調査に大きな懸念を持っています。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。