米俳優のウィル・スミス氏がアカデミー賞のステージで、司会でコメディアンのクリス・ロック氏を平手打ちしたというニュースが世界を駆け巡りました。ロック氏が、スミス氏の妻であるジェイダ・ピンケット・スミス氏をからかうジョークを言った後のことです。
クリス・ロックは、「ジェイダ、GIジェーン2が待ちきれないよ」と、脱毛症でショートヘアになったジェイダ氏の髪型を引き合いに出してジョークを言いました。ジェイダ氏が続編に出演する可能性を示唆することで、彼女の剃り上げた頭をからかったのでした。
スミスはステージに上がり、ロックに殴りかかった後、席に戻り、「妻の名前を口に出すな」と叫びましだ。
その後、スミス氏は、主演男優賞の受賞スピーチで、候補者全員に謝りたいと述べました。ロック氏に対する謝罪はありませんでした。
テニス界のレジェンド、ヴィーナス・ウィリアムズとセリーナ・ウィリアムズの父親を演じた『キング・リチャード(日本語タイトル:ドリームプラン)』で、スミス氏はキャリア初のオスカーを手にしました。
アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは、「いかなる形の暴力も容認しない」とツイートしています。
ロック氏は、何が起こったのかについて、まだコメントをしていませんが、ロサンゼルス警察は、ロック氏がこの出来事を受けて「警察への届け出を拒否した」と言われています。
ロック氏は、ジェイダが脱毛症であることに気づいていなかったかもしれませんが、このステージ上での口論は、数秒のうちに世界中を駆け巡りました。
しかし、このエピソードは、コメディにおいて何が禁じ手なのかという問題を提起しています。多くの人は、セレブリティはスポットライトを浴びるというプレッシャーに慣れているので、ジョークの対象として問題ないと考えているようです。しかし、ロック氏がジェイダ氏の健康状態についてコメントしたのは一線を越えたという意見や、スミス氏がジェイダ氏を擁護したのは正しいという意見もあります。
また、ロック氏のジョークは、近年の授賞式の司会者から聞いた中では最も攻撃的なものではなかったとも言われています。
日本ではウィル・スミス氏を擁護する声が多いです。
高知東生さんは、自身の体験を語っています。
けれども、日本人の感覚だと「家族を侮辱されたから暴力」は擁護されますが、アメリカの感覚だとかなり違う様子です。
ミュージシャンのリル・ナズ・X氏のツイートなどを見るとそのような感覚が伝わってきます。
もちろん、ウィル・スミス氏を擁護する声もありますが、全体としてはロック氏を擁護する声が大きいようです。
ウィル・スミスに殴られたクリス・ロックのツイッターに擁護コメント殺到 よろず~ニュース
映画評論家の町山智弘氏によると、司会のクリス・ロック氏がかなり体を張ったコメディアンだということを解説しています。
最近のアカデミー賞は視聴率が低落傾向にありますが、いろいろな意味で考えさせられる授賞式になりました。