情報収集と読解のチカラ

2週間ほど前、「虎ノ門ニュース」で石平さんと月刊「正論」の編集長の田北真樹子さんが出演していた際、お二人が口を揃えて「入ってくる情報が偏っているかもしれない」という趣旨のことを述べていました。石平さんが「自分は中国のニュースをたくさん読むからAIが勝手に中国のニュースばかりを拾ってくる」と述べ、雑誌の編集長である田北氏が自分の取ってくる情報が果たしてバランスのとれているものなのか、気を付けて意識をしなくていけないと述べていました。

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情報ソースがAIの監視下にあると明示されていることもあればそうではないこともあります。例えば日経の電子版には「AI推奨」という欄があり、確かに自分が定常的に読んでいるコラムやら最新の市場ニュースがそこに常に並んでいます。そして確かに推奨リストのニュースはよく読んでいます。

日本で一番読まれているポータルサイト、ヤフージャパンのニュース欄は一日に1-2度ぐらいはさらっと見出しはチェックしますがこの数年、クリックしてニュースを読むことはだいぶ少なくなりました。ニュースをクリックをしないからAIが機能しないので、広く読まれる内容、つまりスポーツや芸能ネタが主流になっているのです。私はそんなものには目もくれないのでなんでこんなにつまらないのだろうと悪循環で余計に見なくなるのです。例えば有名人の焼き肉屋ごときがなぜ、あんなに話題になるのか、そんなものは欧米で言うタブロイド的な内容なのでヤフージャパンはなぜ仕分けをしないのか、AIは人の役に立っているのか、と疑問を呈してしまいます。

ではお前はどうやって情報を得ているのか、と聞かれるでしょう。私はブログを書くのは趣味であり自分の備忘録であり、皆さんのコメントで勉強させて頂くためですが、時間は十分に割けられません。となれば限られた時間で情報を吸い上げ、考えをまとめるセンスを磨くしかないのです。それはウェブニュースでもオンライン雑誌でもリアルの世界でも注意深く広く見渡す癖をつける、それだけです。そして考える癖をつけるのです。

なぜ、この人はこう言ったのだろうか、なぜ、市場はこう動いたのだろうか、あるいは、この問題の論点は何処にあるのだろうか、といった具合にいつも考えるようにしているのです。もう一つは時間がない中でも情報の取捨選択をあえて行わない練習もします。以前申し上げたと思いますが、私は日経ビジネスを20数年間一週分も欠かさず、広告以外、全ページ読んでいます。普通、雑誌とは自分の読みたいところを取捨選択し、あとはポイだと思います。それをあえてせず、全部読むことで情報のバランスを取ります。好き嫌いをせず、情報を取る癖をつける練習とでも言いましょうか?

私がこのブログであまりウクライナ問題そのものを取り上げておらず、主にその周辺の話題を主体に振っていることに気がつかれたでしょうか?戦争が始まった瞬間は確かに非常に興味深く見続けていたのですが、途中から「何かおかしい」と思うようになったのです。

何がおかしいのか、まだはっきり断言できないのですが、確実に言えるのは情報のアンバランスです。ゼレンスキー氏やウクライナ政府幹部、はたまた在日ウクライナ大使館はどんどん発信しています。西側諸国もいろいろ情報を出していますが、ロシアからの情報は極めて少ないのです。もう一つはゼレンスキー氏の発信するメッセージに感情表現が多く入っています。さすがコメディアンだっただけにトークも表情も非常に上手に訴えるのですが、ここが惑わされるところなのです。

中国の情報は嘘だ、と長年言われてきました。経済統計など「信じられない」とされます。が、アメリカの統計も3回ぐらいリバイスします。つまり確定報まで数字が踊るのです。よってあまり細かい点は見ない方が良いのだろうというは中国の情報のみならず、世界どこでも同じともいえるのです。

私は自分の癖で感情表現や意見や私情は一旦削るようにしています。どちらが正しいとか、どちらの味方をするのか、というレベルの話ではなく、バランス感覚ある判断が重要だと考えています。

SDGsも私はナチュラルな感じがせず、プロパガンダ的に感じたし、カーボンゼロは欧米の計算されたビジネス戦略です。が、原油高になり、計算が狂ったのが実情だとは表面をおさらいしたニュースでは読み取れないのです。

手元に「読書をする子は〇〇がすごい」(榎本博明著)という本があります。語彙と文脈の読解ができるかどうかが子供の教育には大事だと説いているのですが、これは大人が読み、実践すべき内容です。文章はとにかく大量に読み込むことが大事です。もちろん幼少のころからその癖をつけておくことが良いわけですが、大人になってからでもまずは読む癖、というか、読み込む練習をすべきだと思います。

私は当地でCBC(カナダ放送協会)のオンラインニュースを毎朝読みますが、どの記事も長いです。日経の記事も時として長いですが、CBCはもっと長く、冗長ともいえる文章ですが、キーワードだけが見えてくるようになれば文章の読解力がついたともいえます。もちろん、日本の新聞でもこれが言いたいのだな、というところは割とすぐに拾えて、あとの内容は捨てようが瞬時に忘れようが構わないと思っています。これが読み込むチカラだと思います。

最後は持てる情報を測りにかけます。レントゲンを当ててCTスキャンをして透かしたり、逆さから見たりしながらその信ぴょう性をチェックできれば最高なんです。時間の余裕がないのでなかなか手が回りませんが、そこまでしないとニュースは読めないと思っています。冒頭のお二人がAIで苦しめられているという例はよく読み、それを咀嚼しなくてはいけない人ほど注意深くしないといけないと罠にかかるという警鐘なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月31日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。