ニッシム・ド・カモンド美術館で開催中の、「エドムンド・ド・ヴァール(エドマンド・ドゥ・ヴァール)、カモンドへの手紙」展。
ものすごくチャーミングで楽しく素敵なインスタレーション!!!
最初に説明をざっと聞いたにもかかわらず、中庭の石オブジェとホールのテーブル以外、どこに作品が展示されているのか、ざっと周ってもほとんどわからない。。。
警備員さんに聞いてようやく、おぉぉぉうわぁぁぁなるほど~!眺めているのに見ていないとはまさにこのこと。
この美術館は、モイズ・ド・カモンド伯爵邸で、伯爵が形成した素晴らしい18世紀の工芸アートで飾られている。私邸だけどそもそも美術品のために設計や内装がされている素晴らしい館。その(美術品の)中に、ド・ヴァールは自分の作品を溶け込ませて展示させている。つまり、全ての作品を並べて展示、ではなく、常設展示、つまりカモンド邸の広間や図書館、食堂やサロンなどの当時のままの調度品の中に、そっと自分の作品を置いた。
すぐにわかるものもあるのだけれど、あまりに巧妙に置かれていて(隠されていて)、教えてもらわないと目に入ってこないものも。
探すの難しかったのは、パントリールームにある(はずの)オブジェ、そして引き出しに隠されたオブジェ。警備員に訊ねたり、同じようにきょろきょろ探し回っている人たちと”これ、見つけられました?”、”あ、ここ、これだけじゃなくてあれもそうですよ”、など情報交換しながら、さながら極上の大人の宝探し。
18世紀の調度品と19世紀の建築に、21世紀の用の美を讃えたオブジェが、なんとしっくり溶け込んで美しく佇んでいるか・・・。惚れ惚れする。
ただ、ロープ越しの内装の中に置かれているものが多いので、至近距離で見えないものが多くて残念。さらに、全く見えない場所まで、作品をそっと置いたそう。
友人は、昨秋のヴェルニサージュに来て、ド・ヴァール本人の説明を聞きながら、”見えないところに展示された作品まで楽しんだそう。いいなぁ、連れてってほしかった。
すっかりエドムンド・ド・ヴァールのファンになっちゃった。モランディの絵画の色彩トーンを彷彿させる色合いもいいし、金継ぎの応用、用の美のコンテンポラリー解釈のような風情も素敵。調べたら、バーナード・リーチの孫弟子。なるほど~わかるわ~。リーチの伝記も書いているそう。伝記や根付をテーマにした有名な小説と共に、今度日本に戻ったら絶対読もう。
ちなみに、ド・ヴァールは昨年、”カモンドへの手紙”という新作小説を発表し、この展覧会はそのお披露目も兼ねて、ニッシム・ド・カモンド美術館が彼に白紙委任状を渡して開催したもの。”カモンドへの手紙”も、早く日本語訳出るといいな。
あー、楽しかった&素敵だった♪
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。