高学歴エリートでは豊かになれないという「不都合な真実」

資産デザイン研究所を設立して、自分で会社を経営するようになって、お付き合いする人たちの経歴が大きく変わりました。

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会社員時代は、勤務していた会社がどこも金融機関だということもあってか、高学歴で華麗な経歴を持った人たちがほとんどでした。

アメリカのビジネススクール卒も珍しくなく、日本で卒業した大学も東大や京大をはじめ、一橋、早稲田、慶応といった「有名大学」がほとんど。勤務先も誰でも知っているような有名企業です。

それとは対照的に、独立してからお付き合いしている人たちは、経歴を見ると失礼ながらかなり見劣りします。

海外留学や有名大学はおろか、高卒や高校中退といったサラリーマン時代には会ったことが無いような人たちも珍しくありません。そもそもどんな学歴なのかを知らない人もいます。

しかし、時間や経済的な豊かさを見ると、高学歴の人たちより学歴に関係ない人たちの方が、圧倒的に優雅に見えるのです。

好きな仕事をして、短時間で高い収入を得る。時間に束縛されることもなく、自分でスケジュールを自由に管理できる。そんな人たちが珍しくありません(もちろん、すべての人がそうだと言っている訳ではありません)。

彼らのやっている仕事は、真っ当な大学を出て、上場企業のような真っ当な会社に勤務している人からすれば、奇妙でニッチな仕事が多く、何をやっているのかあまり良く分からないものかもしれません。しかし、世の中のニーズに対応することで、ビジネスとして成果をあげています。

これまでの日本での人生の成功モデルは、良い学校に入って、良い会社や役所に就職して、その中で立身出世するというものでした。いわゆる「エリート」と言われる人生の「勝ち組」です。

この成功モデルが一気に崩れ始めたのが、今の日本の現状ではないかと感じます。

頑張ってエリートとして勝ち組になれたとしても、生涯年収が10億円を超えることはほとんどありません。

実際、私の周りにいる資産10億円を超えると思われる人たちには、有名大学卒はほとんどいません。

お金が全てとはいいません。でも、趣味ではなく収入を得るために仕事をしているのであれば、少ない時間で多くの収入が得られることが、経済的な成功といえるのではないでしょうか。

今や、高学歴エリートになっても経済的成功と呼べるような豊かな人生は得られない。そんな「不都合な真実」が多くの人たちに認知されれば、教育に対する考え方も大きく変わります。受験勉強をして良い学校を目指すよりも、例えば独立した起業家として必要なスキルを学ぶ方が良いと考えるようになるからです。

価値観が大きく変わる時代の変わり目は、混乱が発生しますが、大きなチャンスが転がっているとも言えます。

ピンチと考えるか、それともチャンスと考えるか。それは、自分自身の考え方と行動次第です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。