スタバの値上げは悪いことばかりではない

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ほぼ毎日、自宅の下にあるスタバでドリップコーヒーを飲むのが朝の習慣です。

今朝、いつもと同じように出かけると、店内がいつになく空いていました。平日としては珍しいことです。

コーヒーを注文すると、今日から値上げになっていることを知りました。店内で319円だったコーヒーのショートサイズは、350円に値上げされていました(画像をブログで見る)。

空いていたのは、値上げとは関係なく、たまたまなのかもしれません。でも、値上げを機に利用を控える人は少なからずいるはずです。

スタバは「サードプレイス(自宅、職場に続く3つ目の場所)」という言葉もあるように、コーヒーを売っているだけではなく、場所と雰囲気を価値として提供しています。

ところがそんな雰囲気を気軽に味わいたいと思っても、お店によっては満席で座れないことも多いのです。

その理由の1つは、店内利用の価格がテイクアウトに比べて安すぎるからだと思います。セルフサービスとは言え、わずか400円足らずでソファに座って何時間でも滞在できる空間は、雰囲気を考えれば他のコーヒーチェーンに比べ割安に感じます。快適な環境なので仕事や勉強のために長時間利用するユーザーも珍しくありません。

そしてテイクアウトとの価格差がほとんどなく、それが店内の混雑につながっているのです。

もし、値上げのタイミングで店内利用とテイクアウトの価格差を広げれば、持ち帰り比率が高まることが期待できます。これはお店側にとっても、販売の数量が増えるメリットがあるのではないでしょうか。

仕入れコストの上昇を価格に転嫁させるだけではなく、戦略的にメリハリの効いた値上げをする。それによって、店内利用環境を改善できるのであれば、ヘビーユーザーとして値上げになってもむしろ歓迎したいと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。