やっぱり何かズレている「日本の銀行」

不動産投資をしている関係で、複数の金融機関とお付き合いがあります。準メガバンクから、地方銀行、大手信金とバリエーション豊かです。

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そんな銀行の担当者とやりとりをしていると、不思議な対応をされることが良くあります。

最近、こんなことがありました。

とある銀行から電話がかかってきました。名前を聞いたことのない知らない人ですが、4月の人事異動で担当が変更になったと言われました。

用件は、3月末時点の借り入れ残高を出してほしいというもの。こちらからメールする際に新任の方のメールアドレスがわからないので、依頼内容をメールで送ってほしいとお願いしました。

そもそも電話で物事を依頼してくるのがどうも苦手です。時間が取られますし、メールの方が行き違いがなく、エビデンスも残るので便利です。

しかし、その銀行はなんと行員が顧客にメールを送ることを禁止しているというのです。空メールを送って欲しいと言っても、送信はできないの一点張り。

電話口でメールアドレスを読み上げるので、それを書き留め、打ち込んでこちらからメール送信し、到着したらもう一度電話で連絡すると言われました(笑)。

さすがに、そんなことをしている暇はありません。どうしてもメールを送信できないと言うので、メールアドレスを郵送してもらうように頼みました。

ジョークにもならない謎の対応です。

あるいは別の銀行は、担当者が変更になると前の担当者が新しい担当者を連れて挨拶に行きたいと、すぐに言ってきます。引継ぎ期間が1週間ほどしかないらしく、銀行の都合に合わせて時間を取らなければなりません。

コロナ禍で、そもそも銀行自体が対面のサービスを制限しているのに、たいした用事もなく新任担当者が名刺を交換するためだけにわざわざやってくる。

銀行側としては丁寧な接客をしているつもりかもしれませんが、こちらからすれば、必要のない時間の無駄遣いです。

お金を貸してもらっているので、銀行に対してあまり悪い事は言いたくありません。しかし、あまりに理不尽な依頼をしてくることが多いので、怒りを通り越して苦笑いしたくなります。

私も遠い昔は銀行員だったので、顧客よりもコンプライアンスや金融庁の意向を大切にせざると得ない彼らのマインドセットはよくわかります。

でも今どき、自分のメールアドレスも持たせず、メールの配信も禁止するのは、どうなのでしょうか?

やっぱり日本の銀行の常識は、世間の常識からは何だかかなりズレている。同じことを今回もまた感じてしまいました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。