世田谷区議会は臨時会が始まった。初日の13日には、区長の招集挨拶や委員会付託などが行われた後、私(ひえしま進)に対して侮辱発言をした、あべ力也議員(減税せたがや)について、懲罰特別委員会で懲罰を科すことを決定した旨、宍戸三郎委員長から報告された。その後、あべ議員本人から弁明が行われ、全議員で表決。
結果は、自民、公明、立民、F行革(無所属・世田谷行革110番・維新)、都民ファーストなどの賛成多数で可決された。これを受け、議長代行の岡本のぶ子副議長より、あべ議員に「戒告」が言い渡された(動画はコチラ。28:56からご覧ください)。委員長の報告と戒告文(太字部分)は以下の通り。
ただいま上程になりました「あべ力也議員に対する懲罰」につきまして、懲罰特別委員会での3日間にわたる審査の経過とその結果について、ご報告いたします。委員会では、まず1日目に、速記録及び本会議の録画映像を参考資料として、事実確認を行い、各委員がその内容を十分精査する必要があることから、日を改めて協議することといたしました。
2日目に、懲罰を科すべきかどうかについて協議いたしましたところ、「あべ力也議員の一連の発言は『特定の議員の名前を出したものではない』との弁明であったが、名指しこそしていないものの、特定の議員を指すことは明らかであり、ひえしま議員に対する発言と受け止めざるを得ない」との意見が大勢を占めました。
また、「特定の議員の活動に対する『プロパガンダ』や『恥を知りなさい』、『謝罪すべき』との発言は、礼を失したものと言わざるを得ず、さらに、平等な立場である議員に対する強い語気での命令形の発言は、客観的見地からも、一議員の立場を逸脱した侮辱的発言に該当すると判断せざるをえない。加えて、発言がやじの類いではなく、公式の意見表明の場である本会議の壇上においてなされた点も重大である」として、懲罰処分はやむを得ないとの意見が多数出されました。
一方で、「今回の発言は、非常に聞き苦しい、強い言葉で相手を批判する不適当なもので、こうした発言は慎むべきであり、反省を求める。しかし、議会は自由な言論の場であって、その自由を奪いかねない懲罰処分については慎重に判断すべきと考える。今回のあべ議員の発言は、言葉だけを捉えると、必ずしも懲罰を科すまでには至らないと判断し、懲罰を科すことには反対する」との意見も出されました。
また、「議員間の意見や評価の相違は、議論を通じて互いに検証し、解解決の糸口や新たな方向性を見いだすべきである。もちろん特定の個人を論評し、侮辱と解されるような発言は厳に慎むべきことは言うまでもないが、特に常任、特別委員会における議員間の討論は、今後も行っていく必要があるとともに、大切にすべきである」との意見も出されました。
その後、まず、懲罰を科すことの可否について採決に入りましたところ、賛成多数で懲罰を科すことに決定いたしました。引き続き懲罰の種類について協議した後、採決に入りましたところ、賛成多数で戒告とすることに決定いたしました。
3日目に、戒告文案について協議いたしましたところ、「戒告文 あべ力也議員は、3月29日の本会議において、令和4年度予算案5件に対する討論中、不穏当な言辞を用い、ひえしま進議員を侮辱した。このことは、議員の職分にかんがみ、誠に遺憾である。したがって、地方自治法第135条 第1項第1号の規定により戒告する」と決定いたしました。以上で、懲罰特別委員会の報告を終わります。
この件について、朝日新聞が報道。
改めて、良識を示してくださった全議員に感謝と敬意を表したい。注目すべきは、委員長報告にある通り、懲罰に反対した会派からも、あべ議員の発言について「今回の発言は、非常に聞き苦しい、強い言葉で相手を批判する不適当なもので、こうした発言は慎むべきであり、反省を求める」や、「特定の個人を論評し、侮辱と解されるような発言は厳に慎むべきことは言うまでもない」と指摘されていることは、あべ議員の発言がいかに尋常でなかったか、ということを示している。あべ議員には、区民の代表たる世田谷区議会が示した意思を真摯に受け止め、猛省を促したい。
あべ議員は弁明のなかで、「多数決が少数派の基本的な権利と自由を取り上げることはあってはならない」と主張していたが、この言葉は、そっくりあべ議員にお返しする。
なぜならば、あべ議員は保坂区長発案の「世田谷モデル」に象徴される、一連のPCR検査関連予算に反対した私を含め、たった4人の少数議員に対し、多数派の代表よろしく、「恥を知りなさい」「賛成議員や区長、すべての行政職員に謝罪すべき」と言い放ったわけで、誰が少数派の基本的な権利と自由を取り上げているのか。胸に手を当て、よくよくわが身を振り返るべきである。世田谷区議会は少数、多数を問わず、多様な意見を重んじる議会である。この美風を毀損する行為には、断固として異議を申し上げていく。