景気が停滞して給料は上がらず物価だけが上がるという日本の現状を分かりやすく解説します

日本が今、置かれている状況

昨日、米株が大暴落しました。これはリーマン並の大暴落幅です。日本も連動して下げています。

米国の株価は、景気がめちゃくちゃよくてインフレも凄いのでバブル崩壊を懸念してのことです。

株価なんて自分の生活には関係ないと思ってる人も多いですが、円安で石油や食品が日本でも物凄い値上がり。円安だけではなくロシアとウクライナからの輸出が止まったこと、昨年9月に経済を開放した欧米の景気がハンパないこと、アジアでもいま同様の事が起きつつある事が影響しています。帝国データバンクの6月の速報版

これからもどんどん値上げ項目が増えていく気配




どれくらいあがったかといいますと

平均14%!!!

というかなりの幅です。

いままで日本はデフレで、なんとかインフレにとか言ってまして、インフレ目標は2%とかだったのですが、一気に14%。しかもこの場合の目標2%は「景気が良くなって消費が拡大しての2%」だったのですが、日本の景気は相変わらず停滞していて給料は上がらずの物価だけ上がる「スタグフレーション」という形になっています。しかも日本はいま4000万人以上が年金受給者であり、この人たちは収入が変わらず出費だけが増えます。

xxwp/iStock

なぜ日本だけ通貨が安い(超円安)のか

ほとんどの通貨に対して日本円は下げています。(他国通貨が高くなっている)

理由としていくつかあります。その第1が金利の低さです。

日本の金利がめちゃくちゃ低いので円が売られる

マネックス証券から借りてきました。日本だけが金利が非常に低いのが分かる。これなら日本から預金を引き上げて円を売って他国通貨にしたほうが金利分儲かります。


なんでこんなに日本だけ金利が安いのか。これは安倍政権からずっと続く日銀の方針です。要するに

金利下げてたくさん金を借りて貰って経済を回す

っていうやつです。まあなんとか安倍政権の時は経済も少し回りましたが、実はやってるように見えて金利下げた以外はたいしてやってなかった。韓国はこの間に製造業の徹底的なてこ入れを行っていまや万全の体制ですが、日本は円高が止まらず輸出の主体産業である自動車は大半の製造工程を海外に移しました。2019年のデータですが・・・


もうほとんど日本国内で作ってません・・・・・。

好業績が目立った自動車業界の2021年度決算【専門家が解説】

というニュースですが、円安のおかげダーと言ってる人もいますが、実は3月決算の内容なので円安はまだ関係なく、昨年の夏から欧米が経済を全開にした結果です。世界的な好景気(ただし日本と中国を除く)をバックに自動車が売れに売れたわけですね。

ただ、これは連結決算上のことであって、日本に入ってくるお金はわずか・・・・・。大半が海外の工場や支社の従業員の給料になって日本の社員の給料はたいして上がらないのです。つまり日本は空洞化していて、すでに内需中心のサービス業主体の国になっているのです。こんなことは常識なのに


大正大学からお借りしました。

円安が日本にとってラッキーとか日銀総裁は何を言ってるんでしょうか

UNIQLOの柳井さんも「円安なんてひとつもいいことがない」と言ってますけど??

ユニクロ柳井氏、円安は「日本全体からみたらデメリットばかり」

ユニクロは海外の売上高が大きく円安は業績を押し上げる効果もあるが、柳井氏は「円安のメリットは全くありません。日本全体からみたらデメリットばかりだ」とした。日本は世界中から原材料を仕入れて加工し、付加価値をつけて売っていると指摘。「自国通貨が安く評価されることはプラスにならない。円安の行方を心配している」と述べた。円安が進み原材料の高騰もあって各企業で値上げが相次ぐ。柳井氏は「原材料は50%アップとか、ひどいものだと3倍になった。今のプライスで売ることは不可能」などとして、値上げを示唆した。

UNIQLOの顧客層は一般の人なので、

円安進む

いろいろ値上がりする

賃金あがらない

UNIQLOも値上げせざるを得ない

売れなくなる

ということを懸念されているわけです。当たり前ですよね。

ほかにも、いまや日本を信用していない「意識高い系」は、積み立てNISAにせよ、iDeCoにせよ日本株ではなくて利回りの良い欧米株で運用指定してる人が大半でしょうし、先行きが危ない日本円ではなくて米ドルで持っている人も増えています。

タンス預金の高齢者は別として分かってる現役はすでに日本円に不安を感じているのでリスク分散のために円を売ってるのです。

つまり日銀が金利を上げない以上、円安は止まらず物価は上がり続けます。そして物は売れずに不景気は続きます。

どうして日銀は金利を上げられないの?

安倍総理の時代に日本の国債はめちゃくちゃ増えました。700兆円→1000兆円超ですので・・・
この金利負担もでかいです。金利を上げると利息の支払いが増えます。

しかしもっと大きな理由が

金利を上げると景気が悪くなる!!!

ってことなんですね。企業はお金を借りられない。家は売れない。みたいな・・・・・。いまでも相当に景気悪いのに、もっと悪くできないという「先送り意識」が働いて、

金利はいずれ上げるがいまじゃない!!!

という先送り総理、検討使の面目躍如ですね。このままだと円安でインフレ、景気はますます悪くなって日本沈没が現実化してくるだけです。

日本はいますぐ何をすべきか

簡単に言うと「景気を良くして金利上げて円安を停止させる」というのが一番良いわけです。

すっごく簡単な事です。つまり

G7と同じにすればよろしい

そうすれば、経済は回り、みんなが買い物したり、物は売れるし経済は好転。給料も上がって良いインフレになります。具体的には

コロナの規制を完全に止めて政府が勝利宣言!!
入国規制をすぐに撤廃してインバウンド大歓迎

と、これだけです。なんでこんな簡単なことが先送り総理にはできないのか。

まず、日本国内の景気の低迷は、これだけ言われているのにもかかわらず外でもみんなマスク。いまだに大人数の会合や飲食は忌み嫌われ、イベントはみんな中止や制限付き。これでは景気の回りようがありません。周囲を見たら全員マスクをしているというのは明らかに非常時であり、本気でお金を使って楽しむという気持ちが失せます。経済はマインドなのです。出かけることが増えれば服も売れるし飲食も潤います。少子化も少しは止まります。

なぜG7で日本だけがこうなのかというと、政府がコロナ終結宣言をしないからです。G7も韓国もベトナムもみんなやった。台湾はいま未接種の高齢者主体に死者が増えていて日本と人口あたりで同じくらいに追いつくがそれでも経済開放に向かい、制限は撤廃の方向です。コロナで好きで未接種の高齢者が死ぬより、経済破壊のほうが国にとってのちのちの禍なのです。

くわえてインバウンドが数十万人規模でくればみなさん円を買うわけですから円安の動きにストップがかかります。

航空業界もホテルも飲食も行楽施設もお土産屋も交通機関もウハウハで景気爆上げ

なんでこんなことがわかっているのに、6月に5類にするといっていた岸田は昨日の国会答弁で「まだそんな段階ではない」と・・・

入国規制も、金利をあげるのも、コロナ終了宣言も、すべてまだそんな段階ではない、検討するという逃げまくりのリーダーの元で日本は滅んでいきます。仮に米国株の下落からリーマンショック並の不況がきたとしても、欧米は9ヶ月前からのバブル景気で蓄えた余力がありますが、日本はまだ国として自粛中です。

半年後によっこらせと入国規制を解除しても、そのときには世界は大不況だったりすると日本は間違いなく死亡フラグです。ちなみにリーマンショックの時はあれほど増えていた訪日観光客が一気に2〜3割減りました。

わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊「日本沈没を食い止めろ!」がでました。

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編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年6月14日の記事より転載させていただきました。