外国人観光客は国内入国制限しないと大変なことになる

日本では、今も相変わらず、多くの人は外を歩いている時もマスクをしていると想像します。アメリカでは、流石にサンフランシスコ空港では2~3割くらいの人がマスクをしていました。また、ホテルやレストランでも、スタッフがマスクをしているところもありました。しかし、街中にいる人やホテルの宿泊客はほとんど誰もマスクをしていません。

外国人の受け入れも、アメリカでは今やほとんど制限は無くなりました。ワクチン証明書は必要ですが、形式整備的なものになりつつあり、お店やホテルでマスクや消毒をすることも無くなりました。

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日本ではまだ外国人観光客の受け入れに人数制限をして慎重に対応しているようです。これは、民泊などの観光業をやっている立場からすれば何とももどかしい政策ですが、観光客としての立場からすれば、ありがたいことだと感じます。

日本でも、コロナウイルスの感染拡大が沈静化し、重症リスクが低いことが認知されるようになって、国内旅行に出かける日本人が急増しました。ホテルや飛行機のフライト価格も以前のようなバーゲンセール状態は無くなり、正常価格に戻りつつあります。

何より、今まで自粛していた人たちが一気に繰り出すようになり、予約が取りにくくなったり、混雑して利用しにくい状態が発生しています。

もし、このような状況に加えて、海外からの観光客の来日が解禁されたらどうなるでしょうか?

ただでさえ人気の日本の観光地には、円安メリットでお得な旅行をしたいと考える外国人観光客が殺到するはずです。

日本人と外国人の日本観光ブームが起これば、今以上に予約は取れなくなり、ホテルやフライトの価格が上昇していくことになります。

京都のような世界的に有名な観光地は、コロナ前は外国人観光客でどこも大混雑でしたが、ここ数年は比較的落ち着いて時間を過ごせるようになっていました。リッツカールトンのような外国人を相手にしているホテルも予約が取りやすく、リーズナブルな価格で宿泊できるメリットがありました。

外国人観光客が戻れば、そんな快適な環境は消えてしまうことでしょう。

そう考えれば、政府が行っている外国人観光客への入国規制は、一気に解除するのではなく観光地の混雑状況を見ながら段階的に行うのがベストだと思ってしまいます。

観光業はこれからの日本の主要産業として、力を入れていくべき分野です。単に多くの観光客を受け入れるだけではなく、観光資源をいかに有効に収益化していくかの戦略も同時に考えて、上手にやって欲しいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。