1ドル=120円期待せず、1ドル=150円を覚悟する

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7月11日午前中の東京外国為替市場では円安が更に進み、1ドル=137円30銭近くまで円は下落しました。これは対ドルで約24年ぶりの安値水準です。

更なる円安を予想する投資家が増えていますが、逆位急激な円安の反動としての円高への警戒感もあります。この水準から新たに米ドルを始めとする外貨投資を始めることには、抵抗を感じるかもしれません。

外貨資産を保有してない日本人投資家は、今さら外貨を持たない方が良いのでしょうか?

資産運用では、最悪の事態を想定して、困らないようなポートフォリオを構築しておくのが基本だと考えます。

円高と円安を比較すると、日本人として困るのは円安です。

円安とは円の価値が下がることですから、保有している円資産の価値はグローバルに見て減少することになります。また、円で受け取っている収入も、実質的に目減りすることになるからです。

とすれば、再び円高になることを期待するよりも、更なる円安を覚悟して資産運用を実践するべきです。

もしこれから外貨資産を増やして、円高になってしまえば、為替差損が発生します。しかし、保有している残りの円資産とこれから得られる円の収入は実質的に増えることになります。

むしろ最悪なのは、外貨資産を持たないまま更に円安が進むことです。

1ドルが120円になったら、円の価値が上がるのですから悪いことではありません。それより、1ドル=150円になった時を覚悟して、それに向けた対策をすべきなのです。

具体的には、アセットアロケーションの観点から外貨比率を資産全体のどの程度にするかを決めて、そのレベルまで計画的に外貨資産を増やしていくことです。FXを使って外貨の買いポジションを増やしていけば、株価や金利に直接左右されない外貨投資が可能です。これは2012年に資産デザイン研究所を設立した時からずっと言い続けてきた外貨運用戦術です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年7月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。