稼いでいるのは「何をやっているかわからない人」

私が社会人になりたての1980年代は、周りにいるのは上場企業の会社員ばかりでした。

自己紹介をするときに、「〇〇商事の〇〇です」「〇〇銀行の〇〇です」というようにどこの会社に勤めているかが、わかりやすい「記号」だったのです。

しかし、今やどこの会社で仕事をしているかを気にする人は、少なくなったように思います。

会社員が副業することも珍しくなくなり、「どこに所属しているか」よりも「何をしているか」の方が圧倒的に重要になったからです。

また、ここ数年、私が公私にお付き合いしている人たちは、どこの組織に所属しているかだけではなく、そもそも何の仕事をやっているのかさえ、全く想像できない人が多くなりました。

毎週のように地方の有名レストランに突然ふらりと出かけたり、毎月海外に長期で出かけたりと、仕事をしているのか遊んでいるのか、境界線が無いような生活をしているような人たちです。

かく言う私も「毎日何をしているのですか?」とよく聞かれます。

私の場合、今や自分があくせく働くよりも、お金に働いてもらうことによる収入の方が、圧倒的に多くなってしまいました。

自分が懸命に働いても大した稼ぎになりませんから、お金に気持ち良く働いてもらう環境を整えることに専念した方が合理的です。

これが端から見ると、何をやってるのかよくわからないという印象になっているのかもしれません。

RichVintage/iStock

今や、誰もが知っている真っ当な仕事よりも、新しく生まれたよくわからない仕事をしている人の方が、稼いでいる時代です。

例えば、テレビに出ている人より、ユーチューバーの方が、稼いでいる。

本を書いている著者より、メルマガ出しているインフルエンサーの方が、稼いでいる。

株式投資している人より、暗号資産に投資している人の方が、稼いでいる。

丸の内の有名企業で毎日働いている人より、不動産投資の大家さんの方が、稼いでいる。

稼いでいるのは、従来からのわかりやすい仕事をしている人よりも「何をやっているかわからない人」なのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年7月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。