コロナ禍の高齢者を見て懸念するFIREのリスク

コロナ感染拡大防止の観点から、医師や自治体は高齢者の外出を控えるようアドバイスしています。

確かに、外出を控え人的接触を減らすことは、感染防止には有効ではあります。しかし、外出を控えて自宅に籠れば、ストレスや孤独感を感じ、精神的なマイナスの影響も大きくなります。

その結果、コロナ感染が防止できたとしても、メンタルダメージから、鬱状態になったり、認知症が進んでしまう。

そう考えると、果たして高齢者を自宅に「軟禁」するのがベストな選択なのか。身近にいる高齢者を見ていると、疑問に感じてしまいます。

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人間の生活には、社会との接点が極めて大きな影響を持っています。人とのリアルなコミュニケーションが、多くの人には必須なのです。

これは、高齢者に限りません。

以前のブログ(若者よ!やっぱり「FIRE」はやめなさい!)に書いたように、私がFIRE(Financial Independence, Retire Early, 経済的自立をして早期リタイアすること)を人に薦めず、自らも実践しようと思わないのは、収入が減ることもあります。しかし、それよりも、社会との接点が減ることによるデメリットがあることに気が付きました。

もちろん、仕事以外の趣味や社会貢献活動などによって新たなコミュニティが作れる人には、問題無いのかもしれません。

でも、FIREした人を見ていると、社会から距離を取って引き篭もる人が目立ちます。不動産の大家さんになったり、自宅で株や暗号資産のトレードをしているような人たちです。

コロナ禍で外出しなくなって孤独感から精神のバランスを崩していく高齢者を見ていると、FIREして社会との接点を減らす人たちの将来と重ね合わせてしまいます。

FIREした後のコミュニケーション不足が長期で積み重なり、将来ネガティブな問題が起こらないのか心配になります。これは杞憂でしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。