格差社会を嘆く前にやるべきこと

アメリカの経済学者がアメリカ人の25~44歳7220万人のフェイスブック上の交友関係を調べたところ、所得レベルが同じ人同士が付き合う傾向が見られたという結果が発表されました。

例えば、所得上位10%に入る富裕層の友人をみると、34%が同じ上位10%に、84%が上位50%の階層に含まれているそうです。(図表を元記事で見る

つまり、お金持ちはお金持ちと付き合い、貧乏な人は貧乏な人と付き合うという事です。これは日本でも似たような傾向になるはずです。

しかし、この結果から、経済的格差が固定化していると結論付け、諦めるのは早計です。

確かに、経済的に豊かな人が、その富を代々引き継いでいく傾向は否定しません。高学歴・高収入の親を持つ人は高学歴・高収入になりがちなのは統計的に証明されています。

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ただ、別の見方をすれば、経済レベルが同じ人同士が付き合うのは、当たり前と言えば当たり前です。自分の生活パターンや趣味に合った人と付き合う方が楽しいからです。経済的レベルが変わると付き合う相手も変わるのは、良くある話です。

一代で財を築いたいわゆる「成り上がり」が、焼酎から高級ワインに飲み物が変わったり、急にアートにはまったり、有名人と付き合ってセレブ気取りになったりするのは、経済的に豊かになったことが原因です。

元々のお金持ち同士が付き合ったわけではなく、お金持ちになれたから、同じ経済レベルの人たちと付き合えるようになった。そんな人も意外に多いのです。

実際、私の周りにも、決して豊かで幸せな幼少時代ではなかった人たちが、血の滲むような努力を続け、経済的に成功し、理想の自分を実現しているケースは珍しくありません。

とすれば、このようなデータを見て、格差社会に怒りを感じたり、嘆いたりするのは愚かです。むしろ自分はどうしたら自分が望む人たちと付き合うようになるかを考え、行動するためのバネにすべきです。

評論家になって世の中を批判しても、自らが行動しなければ、残念ながら自分の人生は変わらないのです。

 


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年8月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。