人との出会いで気をつけるべきは「人間地雷の回避」

黒坂岳央です。

いつの世も、素晴らしい人との出会いは人生を大きく変える力を持っている。筆者にも数は多くないが、人生を大きく変えるような数々の出会いがあって今がある。なので人との出会いの素晴らしさは肌感覚でわかるつもりだ。

しかし、人との出会いにおいて最重要なのは「素晴らしい人に出会うこと」以上に「自分の人生を破滅させてしまう地雷をいかに回避するか」ということの方が重要度は高いと思っている。「出会いは素晴らしい。だが地雷を回避するために人と会うのはやめなさい」などと言うつもりはない。根拠を取り上げたい。

Aleksei Morozov/iStock

人生が終わるレベルの「人間地雷」

こんなことをいうのはなかなかに憚られるのだが、これまで生きてきて人生を破滅に導くレベルの悪い出会いの事例をいくつも目の当たりにしてきた。

  • 幼き頃から神童の道を歩み続け、最難関国立大博士号を取得したのに悪妻と出会ったことで資産や研究人生のすべてを失った秀才。
  • ブラック企業でパワハラ上司に出会ったことで、自死を選ぶことになってしまったエリート大卒の新人。
  • お客さんに逆恨みされ、夜道で暴行を受けて障害を残したビジネスマン。

これらすべての事例をこの目で見てきた。たった一人の悪い出会いによって順調に歩んできた人生に壊滅的打撃を与えてしまう。

ただ、筆者は頭ごなしに「正義と悪」という二分された構図で話を展開したいわけではない。これらはお互いに自身の正義を掲げ、たまたま相性が悪かったことで起きた悲劇だと思っている。つまり、人間関係においては相性の問題が大きいということだ。悪女もパワハラ上司もお客さんも、出会う相手が悪くなければうまくハンドリングされていた可能性もゼロではない。だから全否定はしないが、相性が悪かったように思う。しかし、人との出会いの負のインパクトを理解できる個人的に見てきたエピソードだ。

「こっちから見りゃ客のほうが怖ぇんだ」

少し話がそれるが、有名な漫画で「闇金ウシジマくん」というものがある。人生を踏み外さないためにはこの漫画は道徳の時間で取り上げてもいいと思う。目先の小さな利益に目がくらんで割に合わない犯罪を犯してしまう、その愚かさを理解できる最高の教科書になるはずだ。

この漫画の主人公・ウシジマくんは「(闇金でお金を貸す)こっち側よりお客さんの方が怖い」というセリフがある。このセリフは個人的にすごく共感でき、初めて聞いた時からずっと記憶に残っているものの1つだ。

一般論としては、闇金サイドが圧倒的に恐ろしいイメージが先行するが、お金を貸す側も大きなリスクを背負っている。多重債務者や、頭が狂ったギャンブラーは無敵の人に近い性質があり、そんな相手は追い詰められれば何をするか分からない。失うものがない人を相手にする商売の恐ろしさを説く言葉だと解釈している。もしも、クレイジーでぶっ飛んだお客をつかんでしまえば、会社は一発で空中分解してしまう。そんな危うい薄氷を踏む思いで商売をしている、彼らの決死の覚悟が伝わってくる名セリフだ。

出会いは良くも悪くも、上にも下にも大きなインパクトがある。大事なのは人生一発退場しかねない危険な出会いを回避することだ。

危険な相手を回避する方法

このパラグラフでは、筆者が考える「面倒で危険な人間地雷を回避する策」を取り上げたい。マッチングアプリ、詐欺師、サイコパス、モラハラ、無敵の人など大体の相手に通用するのではないかと思う。それは「すぐに直接会わない」「試験運用」の2つだ。シンプルだが有効だろう。

まず「すぐに直接会わない」というのは有効な手段の1つだ。たとえばマッチングアプリで、遊び目的で参加したり、投資詐欺などを売りつける人間は地雷と認定して良いだろう。彼ら/彼女らは数撃ちゃ当たる作戦で次々とコンタクトを取り、当たるまで試行回数を重ねるという思考の持ち主と推測できる(筆者は出会いのアプリを使ったことがないので予測にすぎないが)。

だからこそ、すぐには相手と会わず、見極めの期間を設けてオンラインでのやり取りを続けることで、相手の人間性を確認するのである。「手間がかかる相手はごめんだ」とハズレの相手に思わせることができるのではないだろうか。

ちなみにこれは詐欺営業でも同じことが言える。筆者の経営する会社には、悪質な売り込み営業や投資詐欺のオファーが入ってくることがある。彼らは「今すぐ来社してもご都合は大丈夫ですか?」など、とにかく対面を希望するケースが多い。対面して早口でまくし立て、半ば強引に契約させようという算段なのだろう。

さらにこうした業者は、オンライン上にやり取りの記録を残したくないという思惑もあるかもしれない。だから、ビジネスの話は内容を詰める最終段階までなるべく対面は受けない。そうすれば、悪質な売り込みを回避できるのだ。

そして「試験運用」である。たとえば結婚相手との相性なら、結婚という本契約を済ませた後に一緒に住んでしまうと、万が一お互いの相性が悪かった場合は壊滅的な打撃となる。もう結婚をしてしまった後では、お互いのライフスタイルで不和が生じたらやり直しができない。だから結婚前は同棲してみるなどでテストするのである。その結果、関係性が終わりになるかもしれないが、結婚前ならダメージは比較的少なくて済む。

筆者はこの2つは徹底している。特に人には簡単に会わないようにしている。昔はビジネスマッチングやコラボの目的で交流会などに参加していた時期があったが、数々の不快な売り込みを受けただけでなく、恐ろしい経験や面倒な事になった経験もあって懲りた。特に対面で会う場合は、かなり慎重に相手を見たい。それは人間地雷を回避したいからに他ならないからだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。