札幌の寿司店には、いずれ地元の人は行けなくなる

大阪伊丹空港から飛行機で札幌に入りました。気温が10度以上あり、肌寒いほどの気候です。

現地の方に紹介してもらったイタリアンにランチに出かけ、夜はなかなか予約が取れない円山公園エリアにある寿司店に連れて行ってもらいました。

カウンターだけのお店ですが、平日の月曜日にもかかわらず、10席が満席です。

おまかせのコースは、濃厚な白身の刺身から始まり、定番のウニ、イクラ、さらには鮑、カニ、ニシンなど北海道ならではの素材もふんだんに使われています。最後は干瓢巻きと卵焼きで終わる北海道ならではの素晴らしい味わいでした。

ところが驚いたのは会計です。東京の高級寿司店に引けを取らないクオリティーとボリュームで、価格はわずか13,200円(税込)。来月から16,500円(税込)に値上げするようですが、それでも圧倒的な低価格です。半値以下といっても過言ではありません。

お店の方のお話だと、今や8割が「道外」と呼ばれる北海道の地元以外から来ているそうです。その大半は、東京からです。

この日も私の席の横に4人組の東京からと思われる若手企業経営者と思われる男性グループが来ていました。頻繁に喫煙と携帯電話のために席をはずして、早々に二次会のすすきのに出かけていきました。

客層が変わり、地元のお寿司好きな人たちが、ゆっくり楽しめる静かなお店の雰囲気が少しずつ変わってしまっているようです。

これから外国人も日本に大量に来日することになれば、札幌の寿司店は大人気になること間違いありません。

そうなれば、さらに地元の人たちは予約が取りにくくなり、行きにくくなってしまうことでしょう。

私のような東京の住人から見れば極めて魅力的な飲食店がたくさんある札幌。でも私も地元の方に迷惑をかけてしまっているのかと思うと、少し申し訳ない気持ちになりました。

せめて、お店の雰囲気を壊さないようにマナーを守って、またお店の方に迷惑をかけないよう予約ルールを守って、また来たいと思いました。

札幌の夜景 CHUNYIP WONG/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。