米国白人貧困層の二の舞にならぬよう

レッドネックという言葉をご存じだろうか?

一般的には、米国南部やアパラチア山脈周辺に住む保守的な貧困白人層を指すようだが、広く米国の保守的な白人貧困層を指す言葉として使われることもある。

米国の白人貧困層はどんどん増加している。

工場での単純労働や会社での事務仕事で、それなりに豊かな生活ができた親世代を懐かしみながら、仕方なく肉体労働に従事する白人貧困層だ。

彼ら彼女らは、自分たちの生活を取り戻してくれると期待して保守化しトランプ支持に回っている。

白人貧困層が増加した原因は簡単だ。

聞くところによると、16歳から65歳の成人で「簡単な文章を理解できる人」や「小学校低学年レベルの数的思考力のある人」の割合は1割にも充たないそうだ。

「パソコンを使った簡単な作業ができる人」は20人に1人くらいだそうだ。

親世代がやっていた単純な工場労働や事務仕事であればできたかもしれないが、そのような仕事の多くが機械に取って代わられている。

止むを得ず、肉体労働に従事して貧困生活に甘んじるしかなくなったそうだ。

ITなどの技術進歩に付いていけるスキルがなくなれば、貧困に陥るしかない。

日本は米国より周回遅れなので、近い将来同じような状況が生じるかもしれない。

現に、日本人の労働生産性はOECD加盟38カ国中28位とダントツに低い。

16歳から65歳で「パソコンを使った基本的な仕事ができる人」の割合は1割以下だそうだ。

今の米国よりマシだが、さらなる技術革新に付いていける日本人はどんどん少なくなるだろう。

新井素子著「AI vs 教科書が読めない子どもたち」に書かれているように、教科書すら読めなければ国語など到底できない。

現に、今の16歳から65歳の日本人の中に「日本語が読めない人」が約3分の1いると言われている。

「小学校低学年レベルの数的思考力」のない人も約3分の1もいるそうだ。

技術革新がスピードはますます速くなっており、近い将来はブロックチェーンやAIを使いこなせない人の割合が急増するだろう。

法律や社会制度も今までにないスピードで変化し、それを使いこなすことのできるスキルがないと仕事ができなくなる。

「終身雇用は維持できない」と言われているように、会社もスキルのない従業員をどんどんリストラしていくだろう。

他方、高度なスキルを持った日本人は海外企業から高額な報酬と豊かな生活でオファーを受けて富裕層になっていく。

日本国内での格差は米国のように広がらないかも知れないが、外国企業に引き抜かれる日本人も含めれば、日本人同士の格差は広がっていくだろう。

個人のスキルを磨くためには、成人は「学び直し」を、子どもたちは「学び始め」を行うことが必須だ。

思いっきり宣伝になってしまうが、私が「すぐに結果を出せるすごい集中力」を書いたのは、大人の学び直しと子どもの学び始めに(少しでも)役立てればと考えたからだ。

本書は、往年のベストセラー「最短で結果が出る超勉強法」と「最短で結果が出る超仕事術」の重要部分を取り入れながら、勉強や仕事に必須の「集中力」にフォーカスを当てている。

日本版の「レッドネック」に陥る人が一人でも少なくなることを、心から願っている。

 

kieferpix/iStock


編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。