研究者はマッチポンプ的な『「正しさ」の商人』になってはいけない

冒頭の歌は忌野清志郎さん作詞でRCサクセッションが歌う、「けむり」です。

火のないところに煙が立つ理由は、「マッチポンプ」です。マッチポンプとは、火のないところに煙を立たせて騒ぎ、それを消火させることで、自作自演で儲けることだと思いますが、「「正しさ」の商人」の著者、ジャーナリストの林智裕さんの以下のツイッターを見て、研究者として考えさせられました。

「本来優先されるべき諸問題への対策に取って替わった不毛な議論に国富と時間が空費され、社会が停滞する。ALPS処理水、豊洲、五輪などは言うまでも無く。歴代の首相がカツカレーやパンケーキを食べただけで、あるいはカップ麺の値段を間違えただけでメディアは騒いだ。」

「これらが生じた大きな原因は、何ら妥当性や正当性を担保しない無責任かつ粗悪な「正しさ」を社会に売りつけては世論や政治に干渉し、利益を得ようとする存在によるものだ。彼らは火のない所に煙を立たせては人々や社会を煙に巻く。」

「私は、かつて戦争を煽ることで利益を得てきた武器商人が「死の商人」と呼ばれたことに倣い、彼らを『「正しさ」の商人』と名付け、三月に上梓した書籍のタイトルにも掲げた。」

火のないところに煙を立たせることは、「これこれが大問題になっている。これを放っておくと大変なことになるから、研究して解決しないといけない」というふうに、研究者が研究費を獲得する手段として結構頻繁に使うものだと思います。自分も含めて研究者は、火のないところに煙を立たせることなく、小さな火がでているところを初期段階で突き止めて、それを消火して、人々の暮らしを守る存在でありたいと思います。

アゴラでの書評記事

林智裕 「『正しさ』の商人」
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。