アベガー系ブロガーのきっこさんが『日本人を騙してカネを集め続けるカルト教団「統一教会」は本来なら30年前に公安警察によって日本から叩き出されていたのに、政治的圧力で「待った」をかけて日本国内で自由にカネ集めをできるようにしたのが「岸信介→安倍晋太郎→安倍晋三」という前代未聞の売国奴の系譜だ。そいつを国葬って正気か?』というツイートをしている。
前半はまことにその通りだ。統一教会は北朝鮮と戦って韓国を守ろうとしていたはずが、1991年に文鮮明が北朝鮮をお土産付きで訪朝してから、北朝鮮の金体制を維持したままで南北を統一することを目標にするようになった。
これを機に、ちょうど30年前の1992年に行われた桜田淳子も参加した合同結婚式など、極端な行動が目立つようになった。
この段階で手を打つべきだったのに、1990年に自社両党の訪朝団を率いて拉致問題にも触れないまま、莫大な経済協力を約束した金丸信氏(事務総長:石井一、事務局長:武村正義。フォローアップのために同年中に小沢一郎が訪朝)は、米国での服役などを理由にビザ発給を止められていた文鮮明の入国を許可した。
このとき、中曽根康弘氏も出会ったが、中曽根氏はそれに先立つ1990年の総選挙で自民党を離党して選挙戦を戦わざるをえず、数十人の運動員を統一教会から派遣してもらって辛うじて当選したとされている(しんぶん赤旗の報道に詳しい)。
その後、1994年には国会での質問趣意書への回答で、村山富市内閣は、法人の反社会性を前提とした措置を取ることを否定する答弁をしたが、そのときは社会党もさることながら、連立三党のまとめ役をしていた新党さきがけも関与しており、鳩山由紀夫、菅直人、枝野幸男らが党幹部としてかかわっている。
当時の文部大臣は中曽根派の与謝野馨で、その秘書官は前川喜平氏だし、自民党でいちばん統一教会に近い一人で創価学会と厳しく対立していた亀井静香氏(現在は野党系)が運輸大臣だった。
そして、安倍晋太郎氏が1991年に亡くなり、安倍晋三は浪人生活から1993年の選挙でようやく初当選した時期で、安倍家の人間は政策にまったく関与していない。
そのあたりの経緯は「安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか」で詳しく論じたところだ。
そういう意味で、きっこさんのツイートの前半はまったくその通りで、後半は濡れ衣とくっきり正邪の色合いが二色旗のように分かれている。
また最近、反共、改憲、日韓トンネルなどについて、旧統一教会も支持していたといって、これらを支持する人を貶めようという動きがある。しかし、反共、改憲など日本の保守派は統一教会が創設される以前からの主目標だったし、日韓トンネルは戦前からの構想だ。
旧統一教会の主張と同じ主張をしたらそれに賛成する人はシンパだというなら、平和、南北統一、SDGs、ウクライナ支援、アフリカ援助、環境などどにも統一教会は熱心だから、同じようなこと主張してる宗教団体なんぞ類似宗教団体ということになる。在来仏教や日本のキリスト教はみんなそういわれるべきなのだろうか。
そんなことより、潘基文元国連事務総長など、日本で集めた資金を受けとったり、旧統一教会と不可分の関係にある人物や団体を洗い出し、そちらに関係を絶つように要請することこそ日本政府のやるべきことだ。
安倍元首相がビデオメッセージを出した団体も正々堂々と国連公認のNGOであるから旧統一教会との関係が反社会性がそんなにあって問題とすべきものなら取り消してもらうべきだ。日本は国連への第三位の資金拠出国なのだから強く申し入れをしたら良い。
※また、あらためて論じたいが、旧統一教会問題のねじれは、現在の旧統一教会が北朝鮮と友好関係にあるのに、日本の信者のほとんどが保守系だということだ。このため、その保守系の信者に人気がある政治家を、反北朝鮮であるにもかかわらず支持していることかもしれない。