店舗の統合削減だけやっている銀行に未来はない

銀行の路面店が次々と消えています。私がメインバンクにしているみどりの銀行は、溜池山王交差点にあった支店が閉鎖され、西新橋の店舗もなくなりました。

さらに新橋支店の法人営業部門は駅前のビルから別の建物に移転し銀行窓口とは別の場所になっています。

この銀行だけではなく多くの銀行が路面の一等地にある支店を統廃合して、合理化を進めています。

また、残された店舗にあるATMの台数も削減されて、待ち行列ができることが多くなりました。溜池山王駅では、支店閉鎖の代わりに駅構内にATM端末が設置されていますが、1台しかないのでいつ行っても待たされてしまいます。

銀行の窓口で手続きすることは通常の取引ではほとんどありませんから、店舗が無くてもATMが設置されていればあまり不便は感じません。

銀行の顧客は通りすがりの一見客ではなく、既に取引をしている人がほとんどですから、1階の路面ではなく、いわゆる空中店舗でも問題はありません。

そもそも、ネットバンキングの使い勝手が良ければ、店舗やATMに行かなくても取引は完結できます。

問題はこのネットバンキングの使い勝手が悪いことです。

新生銀行やSMBC信託銀行のような銀行通帳ではなく取引明細を発行する銀行は、ネットバンキングの使い勝手が良く、私も利用しています。

しかし、メガバンクや地銀のネットバンキングは使いにくく、法人口座は月額の利用料まで徴収されます。結局、ATMで手続きした方が良いという判断になってしまい、散歩がてら出かけるようなことになってしまいます。

店舗の合理化でコストを削減するだけではなく、ネットバンキングのユーザビリティや利用コストを引き下げるようにしなければ、サービス低下で利用者の不満が高まるだけだと思います。

店舗の統合削減だけやっている銀行は縮小均衡に陥ってしまい、その未来はないと思います。

takasuu/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。