炎上の火に油を注ぐ「間違った謝罪」

黒坂岳央です。

どれだけ優秀な人でも間違いを犯す。優秀な会社経営者でも、ビジネスマンでも社会から反感を買うようなことをして、雪崩のごとく炎上を誘うシーンをよく見る。具体的には言わないが、先日もある経営者が反社会的な発言をしたことで大いに炎上してしまった。

大事なのは、炎上しないようあらゆる一挙手一投足に気を配るのではなく、炎上した時に適切な謝罪をすることだ。しかし、ここを失敗する事例をよく見る。炎上している最中、間違った謝罪をすることで火に油を注いてしまうケースだ。

個人的にニュースやSNSで炎上するケースを見てきて思うところを述べたい。ニュース騒動になるような炎上以外でも、顧客へのクレーム対応にも使えるはずだ。

gremlin/iStock

1. 謝罪が遅い

問題が明るみになり、火消しに必死になるももはや手に負えないと判断したタイミングで謝罪をするケースは多い。だが、これは明らかに悪手である。火の手が小さい内に謝罪をしておけば、早い鎮火ができたはず。それなのに火消しの隠蔽工作に奔走する様子が、周囲から見ても分かってしまい余計に怒りを買うのだ。

「もはやこれまで。もう逃げられない」と感じてずいぶん後になってから謝罪をするのではなく、火の手が上がるのを見たタイミングで謝罪をした方がいい。

世の中には他罰的な思考の持ち主はかなり多く、謝罪が遅い対応に怒ることでさらなる炎上になるケースがある。それを封じる意味でもお詫びは早いに越したことはないだろう。

2. 言い訳がましい

謝罪をする際に言い訳がましい言葉が続くと、「この人は謝罪の気持ちではなく、言い訳をしたいだけだ」と火に油を注ぐことになる。延々と「いかに自分には責任がなく、不可抗力であったか」という説明が続くと、炎上はますますひどくなる。

言いたいことがあるのはぐっとこらえて、とにかく謝罪に重点を置いた説明が良いだろう。

3. ウソをついている

信じられないような話だが、謝罪にウソを混ぜるケースは少なくない。大手企業でも不祥事を隠して、責任を押し付けていることが明らかになり、余計に炎上するニュースもある。ウソをいうと、ただ問題が起きただけでは済まなくなる。ビジネスの世界において、もっとも重要な「信用」が地に落ちてしまうからだ。

炎上するということは、多くの人の注目を集めている状態である。そんな状態で表面的な取り繕いの言葉をいってもすぐに見抜かれ、炎はますます激しくなる。

「とても重大な間違いを犯してしまい、申し訳ありません」とストレートに正直に言った方が誠意も感じられ、さらなる炎上を防止することになるだろう。

炎上を鎮火させる謝罪のコツ

ではどうすれば炎上を鎮火させる謝罪になるのか?思うところを論考したい。

お詫びをする時にはテンプレのようなものがあって、「1.お詫び。2.事実ベースでの原因説明。3.具体的な再発防止策。4.お詫び」が良いだろう。また、お詫びも表面的なものではなく、「不安にさせたことへのお詫び」など、具体的に何に対して謝罪の気持ちを持っているのか?を伝えると良いだろう。

また、炎上してしまった後はむやみに自粛して静まり返ってしまうのではなく、気持ちを切り替えて平常運転に戻すのが良いだろう。人の噂も七十五日と言う通り、誰しもずっと燃え続ける怒りを持続させることはできない。

筆者もビジネス記事を書いて過去に何度も炎上してしまった経験がある。その都度、自分の悪かった点を反省しつつ、でも平常運転で気にせず書き続けている。いつもそうだが、時間が経てば批判の声も止んでいる。時間が解決してくれるのだ。一度失ってしまった信用を取り戻すのは大変だが、逆に言えば時間をかければまた信用を積み重ねることもできるのである。

人間は誰しも間違う。どんな天才でもミスはする。誰かの怒りを買ってしまうことはあるだろう。謝罪の必要が迫られた時、この記事の内容を参考にしていただければ幸いである。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。