ポケモンカードという「インフレ対策」

トレーディングカードゲーム(Trading Card Game、略称TCG)の対戦用に使うトレーディングカードの人気が高まっています。

トレーディングカードの代表であるポケットモンスターカードゲームは、1996年10月20日に最初の商品が発売されました。現在では世界約77ヶ国で販売され、全世界で累計432億枚以上の出荷となっています。

最近人気ユーチューバーのHIKAKINさんが、1枚5,000万円のポケモンカードを購入したことが、ネット上で話題になり、更に注目が集まっています。

私も今年の初頭から、ポケモンカードの購入を始めました。写真は通称「がんばリーリエ」と呼ばれ、現在40万円前後で取引されている人気カードです。

私がトレーディングカードを購入する理由は、インフレです。

インフレとは、モノの値段が上がることですが、裏返せば法定通貨の価値が下がることと捉えることも可能です。

法定通貨の中でも、価値の下落が著しいのが、日本円です。円の預貯金を保有していた人たちは、インフレと円安によって、気がつかないうちに保有資産の価値を毀損してきたのです。

1枚5,000万円のポケモンカードを購入したと言われているヒカキン氏 同氏YouTubeより

元本保証の銀行預金は額面上は減価していませんが、実質的な価値は大きく下がっているのです。その動きが止まる気配はありません。

そんな日本を取り巻く経済環境に恐怖を感じて、トレーディングカード以外にも、ワインやウイスキー、アンティークコイン、現代アートなどの実物資産を次々と購入しています。

トレーディングカードの他の実物資産には無い特徴は、保管スペースを取らないことです。購入したカードは、銀行の貸金庫に保管しています。ウイスキーやワインが、スペースの確保や温度管理に手間がかかるのとは対照的です。ただし、湿気には気をつけなければいけません。

希少なトレーディングカードのマーケットは、現代アートなどに比べるとまだまだ未成熟です。大きなポテンシャルを持つ、トレーディングカードマーケットのこれからの成長が楽しみです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年10月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。