晴海フラッグ当選者が「勝利の美酒」に酔うのはまだ早い

こちらのブログに書いたように、割安感の目立つ晴海フラッグには、大量の購入申込が殺到しています。

2022年7月の5回目の販売では、平均倍率は13.9倍、最高倍率96倍と、2022年3月の4回目の2倍超という人気です。今月の6回目の販売では、それを超える高い競争率になりそうです。

晴海フラッグ 完成予想CG 晴海フラッグHPより

私が購入した第1回目はそれほどの人気はなく、実質抽選なしで2部屋を購入できました。最近の高倍率の中で当選した人は、宝くじに当たったかのように「勝利の美酒」に酔っているかもしれません。しかし、引き渡しまでにはいくつかのリスクがあり、まだまだ油断できないと思っています。

まず、日銀の金融政策の転換リスクです。

円安が進み、世界的な金融引締めへの転換が進む中で、日銀だけが金融緩和政策を続けられるかどうか不透明感がこれから高まっていきます。来年春には黒田日銀総裁も退任し、新しい体制になって変化が起こることは充分に考えられます。超低金利を背景に続いた日本国内の不動産価格の上昇が転換期を迎えるかもしれません。

そして、購入者の大量転売の可能性もあります。

晴海フラッグの30%は投資用に購入されているという説もあり、引き渡しと同時にまとまった住戸が売りに出され、値崩れするかもしれません。周辺物件との比較になりますが、BRTの使い勝手の悪さなどネガティブな材料が出てくれば、現在の良いイメージから一転して、イメージは随分悪くなります。

更に私が個人的に恐れているのは、敷地内駐車場の不足です。

駐車場に関しては、広い住戸以外は抽選で付与されることになっています。最近のマンションは駐車場を使う人が減って余り気味ですが、晴海フラッグの場合は駅近住戸に比べ駐車場ニーズが高いと予想しています。駐車場不足ということになれば、利用できない人たちが引っ越してしまうかもしれません。

引き渡しまであと1年半。私が還暦を迎える時に、東京の不動産事情はどうなっているのでしょうか?

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年10月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。