政府の経済対策は一切いらない。すべての政策が経済にマイナスであり、むしろ日本経済が短期にも長期も落ち込むことを加速するだけだ。
物価高対策として、電気、ガス、小麦、ガソリンなどにばら撒き続けてもきりがない。化学肥料も、流通コストも、パッケージも、すべてに手は回らない。
何より、資源高がいつまで続くかわからない。毎年29兆円をばら撒き続けなければならない。しかも、それで成長するわけでない。物価が上がった分を緩和するだけであり、プラス面はゼロだ。
物価高の原因は何か。資源、食料品高と円安である。前者は、日本政府には何もできない。後者は、米国金融政策と日本金融政策によるものだ。ドル高は半分で、円安が半分。
主要国で通貨安トップスリーは、トルコ、アルゼンチン、日本である。前2者は経済破綻へまっしぐら。それに次ぐ日本円安というのは、やはり円の側の問題も大きいのである。
なぜ、円が安いか。日本銀行が世界で唯一大規模緩和を続けているからである。ほかの国は強烈な引き締めに向かっている。
しかし、日銀は、為替は金融政策のターゲットではないから修正しない、という。
間違いが2つ。
1つは、途上国、新興国では、金融政策の目的は、明示的に宣言している国としていない国とあるが、実質的には、為替水準の安定化が第一である。だから、米国利上げに対して、利上げを行わざるを得ず、国内景気が悪化するのを甘受し、世界景気が悪くなるのである。良いことかどうかではなく、それが必然であり、常識である、ということだ。金融政策は為替安定化のためにある。
2つめは、日本の金融政策が、異常な形での緩和であるために、為替が、円安がひずんだ異常な規模で起きているのである。これが、普通のゼロ金利政策で起きているなら、為替市場に金融政策が影響を与えないようにするのがセオリーだから、為替水準に対して、金融政策は対応しない、というのは正しい。
しかし現在の日本は違う。為替市場、円の水準をひずませているのは、他ならない、日銀の異常な形の緩和、異次元緩和、イールドカーブコントロール、連日指値オペ、という歴史上、世界のどこにも存在しなかった、極端な危機対応の緊急政策なのである。それが原因で為替市場をひずませているのだから、金融政策が為替市場に影響を与えないためにこそ、緊急事態の金融政策をやめ、普通の金融緩和に戻すべきである。
もうひとつの円安要因は、史上最大の貿易赤字である。
これはエネルギー輸入額の急増が原因なのだから、原発再稼動をすれば、輸入量・輸入額額は激減する。それにより、円安も柔らぐ。すると、輸入額はさらに減少する。さらに円安が解消する。
こうなると、海外に所得が流出している分が国内に還流し、国内の消費が増える。エネルギー代、電気代に払っていた部分を企業、家計が、投資、消費に回す。景気も良くなる。
簡単だ。
世界で唯一、日本がこのような政策の余地をもっていて、簡単にでき、全員が得することができるのにやらない。
なぜだ?