今月16日、都民ファーストの会の政治資金パーティーが都内のホテルで盛大に開かれた。
そこになぜか、世田谷区の中村副区長が来賓として出席し、登壇。
世田谷区選出の区議、都議を持ち上げ、「コロナ対策で連携していきたい」などと語ったという。冒頭、「保坂区長が公務で出席できないので、名代として来た」と断ったというので、招待されたのは保坂区長。その代理ということだが、これはすんなり「はい、そうですか」とは済まされないのではないか。
まず、おさらいだが、区長は行政のトップとしての「区長」と選挙で選ばれた「政治家」としての顔を持つ。保坂区長は「区長」として行政の政治的中立性を求められるのと同時に、特定の思想・信条を持つ「政治家」としての活動も認められている。ゆえに、一般的に区長としての「公務」と政治家としての「政務」とが区別されなければならない、とされている。
たとえば、税金で賄っている公用車の使用は、「公務」であれば認められるが、「政務」の場合は認められない。両者の峻別は厳しく行うべきである。維新が首長を務める大阪市は、市長をはじめ行政職員の「政治的中立性」を確保するための条例を定めている。
ちなみに世田谷区には条例はおろか、ガイドラインも存在しない。これまで、保坂区長の「公務」と「政務」の混同は何度も議会で指摘されてきたし、ひえしまも取り上げてきた(公用車問題)。
翻って今回のパーティー出席であるが、これは間違いなく「政務」の範疇である。政治家たる区長が役人の最高ポストである副区長に、「政務」を肩代わりさせてよいのかという疑問が沸く。
しかし、副区長も区長と同様の特別職に位置づけられているので、出席そのものに法的問題はない。だが、副区長が個人の意思で参加しているのならまだしも(その可能性は著しく低いだろう)、「政治家・保坂展人」の名代として、この種の会合に役人を遣わすという、保坂区長のその感覚は当然、問題視されてしかるべきだ。代理を立てたいのであれば、役人でなく政務担当の秘書にする、というのが常識的な考え方だろう。
いずれにせよ、都民ファーストの会の、事実上の統一地方選に向けた決起大会である資金集めパーティーに出席したのは、23区ではただ世田谷区のみだったというのは、それはそれで様々な憶測を呼んではいる。
ともかく、保坂区長の「公務」と「政務」の混同については、厳しく指摘をしなければならない。11月29日の本会議で追及する。