サッカー日本代表、ドイツ代表をプレスバックで攻略せよ

サッカーワールドカップ(以下、W杯)、日本代表は優勝候補のドイツと対戦します。

私の周りの本気でプロを目指すガチなサッカー少年たちに聞いても「勝てないと思います」と国内は戦う前から配線予想一色です。それで良いのでしょうか…と突っ込みたくもなりますが、確かに圧倒的に不利な状況です。

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『五輪書』の精神を発揮してくれることを祈りましょう!

ですが、どんなに不利な状況でも勝機を拾う精神が日本人にはあるはずです。宮本武蔵の『五輪書』に代表される、日本人独自の精神です。

特にサッカーは不確実性が高いスポーツなので一方的な展開になることは稀で、格下と言われるチームにもチャンスは何度か訪れるものです。勝機は必ずあります。

そこで、サムライ魂というと怪しげですが、多くの経営者も愛読する『五輪書』の精神を発揮してくれることを願って、ドイツ戦における日本の勝機を別記事で解説しました。

https://agora-web.jp/archives/221121135644.html ‎

ドイツ代表のサイドアタックの攻略法は?

日本の勝機は、日本選手のアドバンテージであるアジリティを活かし、ドイツ選手の弱点である団子状態(密集)における動きの悪さを突くという戦法です。しかし、この戦法に持ち込むためにはドイツ代表のアドバンテージを攻略しなければなりません。
ドイツ代表の猛攻をどのように攻略すれば良いのでしょうか?

その答えは下の図のアクションになります。

ドイツ代表ボールで、日本が押し込まれる場面を想定したものです。ドイツ代表と言えば強烈なサイドアタックが脅威です。大男たちが猛スピードでサイドに展開し、ゴール前に構える足元巧みな大男にボールを集めて多彩な形でゴールを奪う…そんな攻撃が得意なチームだと思っていただければと思います。

図では、その脅威を作り出すと考えられるパスコースを黒い矢印で表現しています。パスコースは実際には無限にありえるので、ここでは一部にとどめています。
そして、青矢印が日本のプレス(日本選手がボールを奪いに動く方向)です。

キーワードは「プレスバック」

さて、どうやって猛スピードの大男たちを攻略すればよいのでしょうか?そのキーワードはズバリ、プレスバックです。プレスバックとは、前方にいる選手が後方にいる敵ボールホルダーに対して下がりながらプレスをかけることです。

矢印が複雑でわかりにくいのですが、図はアタッキングサード(ゴールに直結するプレーができるエリア)では「二人で囲み、三人めがプレスバックでボールを奪う」という守り方が描かれています。

なぜ、三人もかけてボールを奪うのか…。それは、どんなに優れた選手であっても、人はヒトだからです。人はどんなに鍛え上げてもヒトとしての生物学的な弱点は乗り越えられません。

人の視野角は200°、忍者のようなボール奪取を!!

人の視野角は焦点が定まらない周辺視野も含めて、左右合わせて200°です。360°のうち、160°は絶対に見えないのです。一人でプレスに行っても押さえられるのはせいぜい100°以下です。スキルの高い選手であれば足元はほとんど見ずにボールを扱えますので、残りの260°のどこかにドリブルコース、パスコースを見つけられてしまいます。つまり、ボールを奪えません。

しかし、二人でプレスに行って囲めばほぼ200°の視野を押さえられます。そうなると、見えない160°にスキが生まれるわけです。

このスキを活かして、三人めが背後からボールを奪う…この守備戦術を徹底できれば、ドイツ代表の強烈なサイドアタックであっても攻略できることは間違いないでしょう。

特に小柄な日本人選手はさらに懐に飛び込みやすいのが強みです。長い脚を持て余すドイツ代表から忍者のようにボールを奪う場面を楽しみにしたいですね。

ただ、この守り方はドイツ代表が得意とする守り方でもあります。日本代表はアジリティと技術を生かして、ドイツ代表のプレスバックをかいくぐり、逆に自分たちのプレスバックで勝機を見いだせるか…。

さあ、日本国内では諦めモードのドイツ代表戦ですが、忙しいあなたも勝機を見いだせるポイントが見えてきたことでしょう。

せっかくのお祭りですから、ご一緒に日本代表の善戦を祈って応援いたしましょう!!

杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授)
大人の杉山ゼミナール、オンラインサロン「心理マネジメントLab:幸せになれる心の使い方」はでメンバーを募集中です。心理学で世の中の深層を理解したい方、もっと幸せになりたい方、誰かを幸せにしたい方、心理に関わるお仕事をなさる方(公認心理師、キャリアコンサルタント、医師、など)が集って、脳と心、そしてより良い生き方、働き方について語り合っています。